幻魔大戦 (1983) »レビュー

己の心の奥底に棲みついた鬼

90点 2008/05/04 by メイプルタウン

 黄泉の国は死者の国ですが、同時に人間や動物が輪廻転生するときの、誕生の地であり、魂の故郷です。月読(つきよみ)の神は暗黒神、日の神の天照大神と対極にあります。月読(つきよみ)の神は夜の世界、死の世界を司ってきましたが、本来の姿は万物の誕生を司る神であったのです。国家創生神話がイザナミの神力から成るとすると、光をも吸い込んでしまうブラックホールは、巨大な宇宙の膣であり、星々の死後の世界であり、星もまた生命を有するならば、星の霊魂が帰っていく世界なのでしょう。

 地球が一個の生命体と考えると、地球という存在がもっと身近に感じられ、自分自身の肉体同様に愛おしくなってくるでしょう。しかし、その生命体を破壊しても構わないと考える国家が存在するのです。それこそが、幻魔のマイナスエネルギーと直通の回路で繋がっている者たちなのです。人類は他の惑星からの来襲によって滅亡するのではなく、人類はお互いの神の名によって他を滅ぼそうとしているのです。

 「幻魔大戦」は外宇宙を描いているのではなく、内宇宙を描いているのです。人類の最終戦争である「アルマゲドン」は人類同士の手によって行われる。人類の敵は、己の心の奥底に棲みついた鬼であって、他ではないのです。鬼は幻魔の心であり、マイナスエネルギー体であり、悪神(まがつかみ)なのです。悪神を信奉する者にとって、悪神は正義の神、唯一絶対神なのです。

 こうしてみると未来永劫地球上から戦争という名の巨大な暴力と憎悪の連鎖が消え去らない理由が分かるような気がします。

 

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