クライマーズ・ハイ (2008)
»レビュー
整理不足が惜しい
2008/07/06
by
牛さん
濃密な原作を2時間余に納めるのに精一杯だったのでしょうか。観る者にとって不親切な部分がいくつも目に付きました。
第一に、現代の主人公の登山シーンと、1985年日航機墜落当時のシーンが交互に出てくるのですが、その描き分けが不十分です。主演の堤真一さんのメイクが、22年を経たはずの現代のシーンでもあまり老けていないので、余計に混乱します。
第二に、サイドストーリーの中途半端な入れ方。主人公と妻・息子の確執は、原作から大きく変えられた部分ですが、あまり生きていません。ラストの海外ロケも、果たして必要だったのか?と首をひねります。墜落事故と、その報道をめぐる記者たちの人間ドラマだけに絞ったほうが、はるかによかったと思います。
第三に、台詞の聞き取りにくさ。全体に早口すぎ、しかも略語や専門用語を説明もなく使いすぎです。「フクチュウ」(福田・中曽根両首相のこと)、「オオクボレンセキ」(大久保清・連合赤軍事件のこと)など、若い観客にとっては歴史の世界のできごとなのですから、もっとかみ砕いた説明をするべきでしょう。これはリアリズムとは別個の問題です。
主要キャストは、みな熱演しています。とくに女性記者を演じた尾野真千子さん。低い声とガサツな物言いが、いかにも本当に居そうでグッドでした。
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