山のあなた 徳市の恋 (2008)
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模写失敗
2008/06/23
by
アームピット
かなり寒い。つまらない学生実験映画のようなガスバンサントの『サイコ』が数段上に見える。
石井克人という人は昔っから映画史とはまったく関係ない通りすがりのトレンド監督という認識なのだけど、よりによって清水宏をリメイクしようとしてしまった能天気さは天晴れとしか言いようがない。まあおしゃれに見えたのだろう。
予告編は一見おしゃれな感じでいいのだが、冒頭から酷い。真似る、似せるという作為が学芸会のように続いていって寒い。清水宏の天才性を際立たせている“軽み”が消え、かわりに鈍重な恋愛ものにシフトして何が“カバー”かさっぱりわからない。同じように撮ってもエロチックに見せていないオリジナルの良さをどう捉えているのか。
結局どん臭い恋愛演出にしないとひっぱれないとわかってあのような音楽もつけるしかなかったのだろうが、小津や溝口が“天才”と言ってたその意味が最後までわかってない様子。
太宰治が自分の映画化作品『看護婦の日記』の映画を観ての感想。
「大体、日本人には、軽さ、いわゆるほんとうの意味の軽薄さがないね。誠実、真面目、そんなものにだまされ易いんだ。芭蕉だって、ワビ、サビ、シヲリ、この外に、晩年になって、カルミ、という事を云っているけど、尤も少しも、軽くはならなかったけれど、兎に角、軽みは必要だ。僕は、映画俳優では、ルイ・ジュヴェ、それから羽左衛門がいいな。軽いよ。どうも一般に。重々し過ぎる。何かと云うと、ベートウヴェン。いけないな。モツァルトの軽み。アレは絶対だ。」
改悪。模写失敗。
どうぞ、若い人はオリジナル版を是非観ていただきたい、と素直に思う。
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