丘を越えて (2008) »レビュー

菊池寛は高等遊民?

60点 2008/06/01 by 黄水仙

丘を越えて

猪瀬直樹原作「こころの王国」の映画化。

東京下町っこの洒落言葉が随所に使われている。そのうちのいくつかを使っているわたしは、やはり古い人間だ(「その手は桑名の焼き蛤」「恐れ入谷の鬼子母神」)と再認識。映画では、特に「鬼子母神」を「きちもじん」と発音させる懲りようだ。

昭和初期の風俗も興味深い。「モダン日本」よりも昔ながらの日本の街並みに、だ。取り立てて興味深かったのは、娼家の町並みと赤いちょうちん、ふかし芋屋。ま、それ以外にはあまり記憶にないが。

「生活第一、芸術第二」の菊池寛を「高等遊民」の夏目漱石に対比させた原作者猪瀬直樹(未読)の意図は面白い。が、高橋伴明監督のこの映画では、期せずして、劇中の菊池寛がその高等遊民に見えるのは、皮肉だ。

池脇千鶴好演も、背が小さく、西島秀俊とのダンスシーンで、見上げる顔がそっくり返っていて目をひん剥いていたのが、かわいそうだった。別な演出でも良かったのに。

物語り自体は尻切れ蜻蛉の様、原作どおり?なのだろうか。フォローで入れたのかもしれない出演者総出(とはいえ、高橋恵子はいなかったような)ダンスは楽しい。回想シーンでの刺青を入れた峰岸徹の歌が優しい。

 

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