歩いても 歩いても (2007)
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心地よい徒労感
2008/07/07
by
cheaphemp
主人公である良多は、母をして「まだ若いんだから」とか、「もう若くないんだから」などと言われてしまう、40歳、人生中途の男性。そんな彼が、人生を折り返すひとつの(それとは気付かぬほど小さな)岐点となった、ある夏の一日。おそらく彼は、エリート意識の強い絶対的な父からも、いつまでも子供扱いする母からも、そしてその死によって完全な存在である兄からも、意識的に離れよう、己の道を行こうと、これまで歩いてきたのではないでしょうか。しかし、どんなに遠くまで一人歩いてきたつもりでも、絶えず繋がっていて、そして結局は還ってきてしまうのが、家というもの。煩くても、格好悪くても、時にはエゴの掃き溜めでも、家族というものは自然と茶の間に集まるものなのですね。日本家屋独特の造りを活かした部屋越し、ガラス戸越しの会話も、素敵な「間」を印象づけました。良多が父親に歩調を合わす行為も、美しい「間」ですね。家族は形を変えながらも、再生を繰りかえし、連綿と何かを伝えていく…。照れもせず、誤魔化しもせず、こんなにも真正面から家族のコミュニケーションを描く是枝監督を、私は信頼してしまいます。
(新宿武蔵野館)
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