せむしのこうま/イワンと仔馬 (1947) »レビュー

撫で下ろされる鳥胸

70点 2008/05/01 by アキラ

ノルシュテインの師としても知られるロシアの子供向けアニメ作家として名高いイワノフの代表作を2連発。ますは晩年にもセルフリメイクされた初期作品。ずる賢い2の兄を持つちょっと頭の弱いイワンというトルストイを連想させられる設定。でも話の中身は違います。畑の番をしていて出会った不思議な馬に与えられた仔馬に助けられて上京したイワンが王様の出す無理難題に応えて冒険するお話。火の鳥を捕らえよだとか太陽の娘を連れて来いだとか熱湯に飛び込めだとか。イワンを妬んだ馬屋が次から次へと王様に良からぬ入れ知恵をするもんだから踊らされる王様。個人的には嫌いになれないキャラです。むしろ陰で糸を引いてる馬屋の方が王様よりも万死に値すると思うけれど、まあ彼も一応労働者だから責任は王様にあるって所かな。

私としては年老いた王様が若くなった姿も見てみたかった。この老人は臆病だが悪い人間には見えない。愛せるキャラです。特にいかにもロシア人っぽい仕草が気に入りました。この作品では特に膨らませた鳥胸を撫で下ろすようにしながら語る仕草がやたら登場します。どうも宮崎駿の『天空の城ラピュタ』の炭坑街でドーラ一家と親方が喧嘩するシーンの仕草のロシアっぽさはこれを模倣していたようです。まあ他にもチェコ民話だとかイタリア映画だとかラーマヤナとか欧州から中央アジアにかけての様々な伝説や映画の影響が随所に登場する文化的にも興味深い作品だけに元ネタとなった古典をあげればきりがない訳だが。イワノフのバックグラウンドはどうだろうか。王様の入浴シーンにはなぜかパラジャーノフを連想してしまったけれど彼はグルジア系ではなかったのだろうか。ロマや少数民族の文化にも寛容だったからなのか。だからこそ中央アジア系の文化が匂う童話にも手を出したのだろうか。この頃の作品は絵でも後の作品群と比べると形式的ではなく柔らかい。

 

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