(2006) »レビュー

帰って来た韓国へ

70点 2008/05/01 by アキラ

パッと見は典型的な韓流ノワール。殺し屋がナルシストって所は思わずキムジウンの『甘い人生』を連想させられます。ただ、この主人公の暴走の動機にはずっと探し続けた双子の弟への思いがある。主人公を追うベテラン刑事にも相棒を殺された怒りがあり、敵であるギャングのボスにも商売を台無しにされた恨みがあり、主人公に協力する女刑事にも恋人を失った悲しみがある。それぞれに腹に一物抱えた者同士の必然が弾け合う。殻に閉じこもったプライドの為ではない。大切な人への思いの為になりふり構わずボロボロになる。貧民街の子供たちが夢見た大金を手に入れてオーストラリアに移住する計画はいつしか血で血を洗う抗争に発展。

在日監督としては日本で最も有名なあの崔洋一がルーツである母国に戻って完成させたアクションエンターテイメント。いかにも韓流ノワールに染まった所もありつつ崔監督ならではのエグさも健在。保存の為に氷風呂に浸けた遺体が鬱血して黒ずんでゆくシーンは『マークスの山』を思い出させます。駐車場で車が用心棒たちの足を轢き潰すシーンは『友よ、静かに瞑れ』などハードボイルド路線の初期作品から既にやっていた生々しい音の入れ方をしています。それでいて『太陽がいっぱい』みたいなサスペンス要素があったり。殺された双子の弟に化けて警察に潜入するシーンはハラハラさせられます。実に硬派でしっかりと重みのある作品でした。

六本木シネマートにて韓流シネマフェスティバル2008

 

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