日々と雲行き (2007)
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惨めな熟年解雇
2008/05/14
by
アキラ
「いや〜会社クビになっちゃってさ〜」と誰にでも明かせていたら、ここまで落ちぶれる事もなかったのかもしれない。だがCEOともなれば他人に云うにしても気を遣う。事を大きくしなければ何事もなかったかのように元通り会社との関係を修復して事態を収拾できるかもしれない。そんな淡い期待もあり独り問題を抱え込み妻にすら打ち明けられずにいた。娘も自立して第二の人生を歩み始めたばかりの中年夫婦。その矢先に役員間の抗争で自分が立ち上げた会社を追い出された夫。妻にその事実が告げられたのは職を失って2ヶ月目。つまりは2ヶ月もの間、夫は社長としての収入があった頃と同様に見栄で浪費し続けた。それはこれから訪れる低所得生活からすればとんでもない大金。ボートも家も手放さなければ破産する所まで追い詰められるまで彼は見栄で貯蓄を食い潰してしまった。その後で失業を告げられても遅い。あっという間の転落人生。
熟年夫婦の話として上手くまとまっていて特に悪くはない内容だが特に優れた点も見当たらない。ジョルダーナと並んでイタリア新鋭として注目されるソルディーニの新作は手堅過ぎるほど手堅い。予想外の転落により心が離れ始める夫婦のドラマ。転落した事が二人を引き裂いた訳ではない。隠し続けた事が深い溝を生んだ。夫は会社に戻る事に淡い期待を抱くが、そもそも会社自体が危機。海外資本に切り替えなければ生き残れない状況で頑に新しい方法を拒んだ事で追い出された社長。だが新しいやり方も上手く機能はしていない。どちらにせよ遅かれ早かれ潰れる職場。職安で管理職を紹介されてもプライドの高さ故に喧嘩して追い出される夫。何もできないでいる彼を尻目に妻はパートを増やす。大学で古典絵画鑑定の才能を認められたばかりの彼女だったが発掘作業も放り出し昼夜働き詰め。ふらふらになって帰ると引きこもっている役立たずな夫と口喧嘩。そして職場の上司と不倫。何とも悲惨な状況です。何も知らされず翻弄され続ける悔しさが伝わって来ます。他人にまで告げる必要はないかもしれないが痛い時には一番大切な人にだけは痛いと告げる勇気を持ちたいものです。
朝日ホールにてイタリア映画祭2008
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