潮風に吹かれて (2006) »レビュー

更正、見込みなし

70点 2008/05/14 by アキラ

隣人殺害で20年の刑に服した男。彼はいつまで経ってもその殺人は正当防衛だと主張し全く更正の態度を見せない。刑務所内じゃちょっとは知られた問題児。看守をからかっては報復に暴行を受け続けたせいで、気付かない間に脳に障害を負っている。そんな彼の移送によって偶然にも新しく彼の仮出所の審査を任されたのは彼の実の息子。父なし子として辛酸を舐め苦学の末に現在の仕事に就いた息子は自分が息子である事を隠しわざと父に辛く当たる。ところが知らない間に姉が自分の養育費や学費に使っていたのは彼の貯金だった。その金で20年前にマトモな弁護士さえ雇っていれば父の行為は正当防衛として認められ無罪放免となるはずだった。苦悩の果てに父と息子は互いを煙たがりながらも互いの身を案じた上での決断を下す。

実に硬派なドラマでした。まるでアメリオ作品を連想させられるような親子関係の描き方です。コメンチーニ組やらモレッティ組からの出身とは思えないザラついたテイスト。父と子それぞれの思惑が互いを思いやっても不器用にすれ違ってしまうのが哀しい。相手が他人だと思っている間は大してズレないのに親子だと分かった途端にズレ始める。生きる為に刑務所内でも犯罪に手を染めた父と現在の職に誇りを持ち大企業のオファーを蹴る息子のそれぞれなりに築いた正しさを認め合う事すらできない。単なる同情みたいにしか思いやれない。個人差も大いにあるだろうけど父と子の関係って実際の所はこんなものなのかもしれない。♪夢見てるから儚くて探すから見つからなくて欲しがるから手に入んなくて途方に暮れるby桜井和寿(掌)みたいな。

朝日ホールにてイタリア映画祭2008

 

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