マルーンド―恋の脱出大作戦! (2007)
»レビュー
トイレに閉じ込められた週末
2008/06/03
by
アキラ
コミカルなスチュエーションで現代を笑い飛ばすケニア映画。週末のオフィスビルで営業に来ていたエリートサラリーマンが便所を探して右往左往。彼の目に留まったのは“レディ‐ス”の文字。この際、女性便所でも用を足せれば構わないと飛び込む。ところが誰もいないと思い込んだ管理人はトイレに鍵を掛けて帰ってしまう。閉じ込められたのは彼だけではなかった。そのビルで働く若い女性も偶然そのトイレに居合わせた。彼女のケータイはオフィスで充電中、男のケータイは便器にボッチャン。かくして助けを呼ぶ手段は断たれた。週末なので社内の同僚は早々に帰宅。高層ビルの地上15Fに男女ふたり取り残され間抜けな脱出劇が幕を上げる。
ホワイトカラーである主人公達は常に英語で話す。それに対しビルの使用人や周囲のルンペンはスワヒリ語で話す。発展の第一線は海外資本にある。欧米ではケニアはアフリカの優等生な国と認識され日本の教科書でもまるでアフリカの代表国であるかのように紹介される。単に日本と同じで欧米に従順な犬だから。ところが昨年末の大統領選で民族単位の組織票への批判に端を発して民族問題が表面化しつつあります。それを見越してか、この作品では主人公が異なる部族の野蛮な風習を批判しながらも「自分だったら部族が違っても優れた指導者に票を入れる」と云い放ちます。残念ながら実際にはこういった意識に目覚めた部族は少なかったようです。
トイレの中には様々な道具があります。ましてやエリート層が勤める会社の高級トイレだから様々な装飾があり、これらを使えば簡単に出られそうな気もします。ところがこの二人はなかなか策を講じられないまま時間ばかりが過ぎます。それどころかトイレでの週末を楽しもうとすらしています。なぜなら二人とも心の奥底では自分の人生から逃げたいと望んでいるから。断りもなく国外での仕事を決めて勝手に家を出て心が離れてしまった妻との関係修復を試みる予定だった男。封建的で女性の自立を認めずDV傾向がある恋人との結婚を予定していた女。どちらもこの週末から逃げ出したい。トイレにハマるなんて最低な状況を本気で打開しないのは、それ以上に自分の人生が怖いから。最低の状況を最高のチャンスに変えてくれる妙な縁。
横浜情報文化センターにてシネマアフリカ2008
このレビューに対する評価はまだありません。
※ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。
返信を投稿
Copyright©2008 USEN GROUP All Rights Reserved.






