ジャスティス (2002) »レビュー

ハート中尉の戦争が始まった!

80点 2005/08/25 by 理屈屋

このお話は、変わった展開の仕方をします。
普通に戦争映画として始まるものの、なぜか殺人事件が起きて、唐突に法廷ものになります。
人種差別や冤罪の問題が出てきて、本格的に法廷ものになるのかってところで、再び唐突に戦争映画に戻ります。
そもそも戦争でたくさんの人が、敵も味方もほとんど意味なく大量に死んでる時に、捕虜収容所での殺人事件の裁判で、たった一人の黒人将校の有罪無罪に命を賭けて正義を貫こうとする弁護士役のハート中尉は、何だかとっても滑稽で、マヌケなお坊ちゃまに見えてしまいます。
けれども、捕虜を統率するマクナマラ大佐も、ナチに裁判を開くよう要求したのは良いけれど、公正な裁判をする気は全然ないらしいのが不思議で、大佐が一体何を考えているのか全く読めないんです。

でも唐突に戦争映画に戻った瞬間、なぜ殺人事件が起きたのか、なぜ裁判を開く必要があったのか、なぜ判決はどうでも良いのかなど、観客にもハート中尉にも事情がスッキリ分かります。
(実は、そうと分かる伏線が引かれています、そうと知って見ると確かにそれが分かります)
そしてそれが分かった時、それぞれの人が決然として次々と素晴らしい行動に出ます。
その人が、この人が、そして極めつけにあの人までも、これでもかと英雄的行為の波状攻撃です。
その中でハート中尉はあの人の行為を見て、戦争とはこういう事なのだと初めて知り、その時から彼にとっての戦争が、どうやら始まったみたいです。
ワケ分からん気味の展開からドンデン返しの後、このたたみかけるラストに、正直言って感動しました。

裁判の公正を表すのであろう邦題の「ジャスティス」は、どーでも良い事をタイトルにしてしまってるなぁと感じます。
原題は「ハート中尉にとっての戦争」で、作品の内容にピッタリだと思いました。
私にとって戦争とはどういうものであり得るかを考えた時、ジーンと込み上げる感慨がありました。

 

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