羅生門 (1950) »レビュー

色彩を感じさせるモノクロ映画

100点 2008/04/14 by 牧坂満

 原作は芥川龍之介の「藪の中」であり、ビジネスコンサルタント社による合宿形式の社員育成プログラムの終盤近くになると議題として手渡されます。応仁の乱によって荒廃しきった京都を舞台にした殺人事件を題材にしており、ハリウッド映画でマーティン・リット監督により「暴行」でリメイクされています。

 前述した社員育成プログラムの題材とされているのは、十人十色の証言に1チームの参加者12名が最初は謎解きだと解釈して真犯人捜しで議論を戦わせるのですが、何時間たっても結論が出ることがなかったのです。主催者側の魂胆もここにあり、参加者たちは他人の意見をよく聞くように向上するのです。

 映画は白黒映画なのですが、木漏れ日溢れる林の中はまるで色彩がついているような錯覚さえ覚えました。下手な総天然色映画が出回り始めた時期に田舎の映画館で鑑賞しましたが、遙かに色彩を感じさせてくれる美しさだったことを覚えています。下手な演出をすれば陳腐な心理ドラマに堕落しそうなストーリーですが、黒澤明監督は映像言語で描写します。

 NHKBS放送で過日鑑賞しましたが、京マチ子の演技は貴婦人の如く、娼婦の如くと形容出来る二面性を見事に具現化していました。人間のエゴイズムを浮き彫りにしたエネルギッシュな作品は現在でも色褪せていません。日本映画が誇る不朽の名作です。

 

6人がこのレビューに共感したと評価しています。
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  • ゲーリー・クーパーも感心した

    2008/05/03 by 夢寝由来

    ゲーリー・クーパーが唯一見た日本映画が本作で“実に変わっている映画だったよ。幻想的であり、心理的であり、同時に活劇敵でね。剣をふるってやりあうところなんか、我々の中世物よりも迫力があったね。それにあの女優さんはすてきだったね。背は高いし、美人でしかもエキゾチックで中々印象に残る人だったな。”と評しています。(シネアルバム:ゲーリー・クーパーより)
    一方当時大映専属だった長谷川一夫は“黒澤さんの映画1本の予算と時間で私の映画が10本出来る”とコメントしていてこちらにはシラケました。
    私は本作の山賊・多譲丸のキャラの延長線上というかポジティブバージョンがあの名作「七人の侍」の菊千代だと思うのですが如何でしょう?

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