イル・ポスティーノ (1994) »レビュー

詩が縛られていた心を解き放つ物語

90点 2005/03/07 by 理屈屋

貧しいイタリアの漁村の生活にうちひしがれた人々が、詩によって人の心の美しい部分に気づき、やがては世界の美しい部分に気づき、ついには人間らしく生き生きと生きていくようになっていく様子を描いた物語です。
主人公は郵便配達のおじさん、マリオです。
このおじさん、初めは全然イケてないんですよ。むしろ大丈夫かな、この人って感じなんです。
でも、チリから亡命してきた詩人に郵便物を届ける仕事をしてから、詩の魅力にとり憑かれるんです。
で、みるみる変わっていきます。実は素晴らしい詩人だったんですよ、この人が。
亡命詩人もマリオの心の美しさに打たれるんですね。で、交流が始まります。
そして、マリオはベアトリーチェという娘を好きになります。彼女も美人ではあるけれど、生き生きしてないんです。でも、マリオが彼女に詩を贈り続けているうちに、彼女もみるみる変わっていきますよ。
詩の持つ力は絶大です。美しい心を美しく伝えます。女性の方が男より本能的にそれを知ってるみたいですね。
詩によって美しい心が次第に人々に伝わっていきます。
私までが映画を見ているうちに、詩を通して人の心の美しさ豊かさ、自然の豊か美しさをを感じられる人間にどんどんなっていくような気にさせられます。
そして、郵便配達人のマリオは、詩を知り、恋を知り、政治を思い始めます。
マリオの人間としての空間がここまで広がったんだなあと、深い感慨を受けます。
しかし、ここから繋がるラストへのくだりは、とても哀しい展開となって行きます。
が、最後のシーンでは、マリオが知り得た世界の美しさは不変であり、それはいつまでも残り、人々に伝えて行けるものなのだと感じさせてくれてるのかな、とも思えます。
人の心の美しさ豊かさを信じさせてくれる、とってもいい映画だと思いました。

 

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