酔いどれ天使 (1948) »レビュー

全ての成功はここから(改訂版)

90点 2008/04/19 by 夢寝由来

黒澤映画は“三船に始まり三船に終わる”或いは“医者に始まり医者に終わる”と思います。
真田先生のキャラは黒澤の尊敬するジョン・フォード監督の「駅馬車」(1939)に登場した飲んだくれのブーン先生が原点にも思える。
「赤ひげ」の主人公は本作の真田医師を更にパワーアップした感じだ。
『泥の沼』は松永の肺の状態と当時の社会そのものを象徴している様に思える。
松永の唐突な暴力はハリウッド製のスラップスティック・コメディのノリでこれが当時大ウケだったのだろうと容易に想像できるしそれが本作を大ヒットさせる原動力にもなっているが松永がヒーローになってしまうと黒澤明の“ヤクザ否定”が成立しなくなるという矛盾を生じてしまう。
本来の主役である志村喬の真田先生が脇役の扱いになってしまった誤算があるが三船に大飛躍をさせたというメリットを重視して大目に見ましょう。
クライマックスで兄貴の山本礼三郎を討ちに行った松永が白いペンキまみれの見苦しいく又してもスラップスティック・コメディ調の乱闘を展開するが滑稽な筈のまるでコントのような絵柄が何故か悲しい。
東宝はその後1956年以降「暗黒街」シリーズをスタートさせるがそれに先鞭をつけた功績も大きい。

 

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