(ハル) (1996) »レビュー

(ほし)にとって(ハル)とは?

90点 2008/05/18 by 星空のマリオネット

音のない世界。
スクリーンのまん中に静かに浮かび上がる文字。
見知らぬ者同士の文字による会話。
スクリーン全体がパソコンのモニター画面になって、チャットの様子を映し出す。
文字が浮かんでは消えていく穏やかなスピード感が心地よい。
映画ファンの集うチャットルーム「映画フォーラム」に、特に映画好きでもない(ハル)という新入りさんが参加することから、この物語がスタートします。

「ハル」に興味を持ったのが「ほし」。
二人の間でパソコン通信(メール)が始まります。
パソコンをログオンし「メールが一通届いています。」というメッセージを確認するのが日課となった二人。まだ見ぬ二人の会話はスクリーンに映し出されるメールの文字のみ。
(サイレント映画(無声字幕映画)のテイストもあります。)

さて、「ほし」を演じたのは、当時まだ22歳だった深津絵里さん。
「ほし」の実生活も静かに描かれ、台詞も少なくワンカット10数秒しかないなかで、深津さんはどう演じるか悩んだとのこと。
そんな時、森田芳光監督からエドワード・ホッパーの「夜ふかしをする人たち」のような世界なんだと絵を見せられた彼女。シーンとした孤独な空間に佇む女性をイメージ。

深津さんは今よりちょっとふっくらしています。10年以上前なので化粧法も違ったのでしょう。眉毛も太め。
終盤、彼女らしい笑い顔を一瞬見ることができます。ちょっとあごを上げた恥ずかしそうな笑顔です。

二人のメールでの遠慮がちのやりとりは、次第に心の奥を見せるものになっていきます。それぞれ悩みを乗り越えていこうとしている二人は、実際に逢うことができるのでしょうか。

この映画のタイトルが、「ほし」ではなくて何故「ハル」なのか。「ほし」にとっての「ハル」という文字列の意味が解き明かされる時、涙がでそうになります。
応援したくなる真面目な二人。

PS
メールもいいものですね。
会話のように延々と続ける訳にはいかないし、黙っている訳にもいきません。相手へのメッセージを短い文字に託そうとすることで、自分の考えや気持ちを自ら推敲しながら整理していくことができますよね。

 

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