アンタッチャブル (1987)
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世界恐慌時代の善と悪
2008/02/18
by
牧坂満
1930年代の男たちのファッションはチョッキ付きスーツのスリーピースでした。1970年代の黒人マフィアを描いた「アメリカンギャングスター」でも犯罪者たちの方がかっこよく決めていたファッションに疑問の声が上がっていましたがギャングスターたちは非合法的商売と脱税により潤沢なマネーがあったのでファッションが決まっているのは当たり前ですね。FBIの前身であるアンタッチャブルは絶対に買収されない男たちを表現しているだけあって給与関係も所轄警察官より高額だったので伊達者でいられたと思います。そのエリオット・ネスを演じたのはケビン・コスナーで、誠実で正義感溢れるアメリカンヒーローであり家庭を大事にするマイホームパパ。ネスと敵対するアル・カポネに扮したのはロバート・デニーロで、残虐非道ながらも暗黒街の帝王だけあって人を魅了するキャラクターを見事に演じています。ネスの参謀役のアイリッシュの警察官をショーン・コネリーが演じますが、渋い魅力と重厚な風格に007ばりのユーモアが冴えていました。精悍なナイスガイの部下にアンディーガルシア、コミカルな役柄のチャールズ・マーティン・スミスの三人の部下を引率して、マフィアに命がけで挑む男たちの美学を描きます。ガンマニアの私としては30年代の時代考証をしっかりと行ったこの映画に登場する銃器に痺れっぱなしになりました。苦言を呈すると、サム・ペキンパー監督の「ゲッタウエイ」でスティーブ・マックイーンが使用したウインチェスター・ライオネット・ショットガンM97を装備したアンタッチャブルの四人が、何故か、そのまま銃撃戦に入った筈なのにウインチェスター・無鶏頭・ショットガンM12に変わってしまうことです。ショットガンの魅力は台座を手前に引いて撃った後に、イジェクションポートから空シエルを弾き飛ばすシーンですが映画ではこのリピーターシーンをふんだんに見せてくれました。数々のアクション映画で有名なコルト・ガバーメント45は主人公のネスの他にもマフィアの面々が使用するオートマチックの名銃です。トンプスンM1921・ドラムマガジン付きサブマシンガンは別名、ミートチョッパー、シカゴピアノ、タイプライターと呼ばれ、ドラムマガジンには100連発の弾丸をロード出来たのです。タイプライターの異名はゲーム「バイオハザード・4」のレオン・ケネディの主力武器としても登場していますが、20世紀前半のこの時代を描いたクライムムービーには必ずといっていいほど登場して、異名通りの殺傷能力が凄まじい映像を作り上げます。クライマックスのユニオン駅の階段を舞台にしたスローモーション映像はセルゲイ・ミハイロビッチ・エイゼンシュテインの不朽の名画「戦艦ポチョムキン」を彷彿とさせ緊迫感溢れる流麗なカメラワークによる名シーンです。フランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザー・三部作」、セルジオ・レオーネ監督の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」、サム・メンデス監督の「ロード・トゥ・パーディション」と並ぶクライムムービーの名作です。
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