タワーリング・インフェルノ (1974) »レビュー

主人公は超高層ビル

80点 2005/07/02 by 理屈屋

超高層ビルの火災によるパニックを描いた、いわゆるパニックムービーです。
「運命の愛」とか「消防士たちの超人的な活躍」みたいな、人間の物語はあまり描いていません。
人々は炎に追われて死を覚悟し、消防士たちは奮闘虚しく、なす術のなさに途方に暮れます。
炎とその対極にある自然の力の凄さと人間の無力さを嫌と言うほど見せつけられます。
にもかかわらず、この作品は退屈どころか非常に感動的だったりします。
それは、超高層ビルが主役だと強く印象付けられるからです。
超高層ビル自体が、人間の野望と驕りと愚かさの象徴なんです。外見の威容と裏腹に、内部に隠し持つ弱さ、脆さ、愚かさ。
まるで強さを誇示するように見せ付けた威容と、それが虚しく滅び去る姿に、深い哀しみ感じさせられ、人の愚かさを思い知らされます。

ラスト近くである人が呟きます。「このビルをこの姿のまま残しておく方が良いのではないか?」
全く同感です。人類の愚かさと野望の墓標として残して置くべきです。
そこら中が墓標だらけになるまで、なお愚行を繰り返すほど人は愚かでないと信じたい。
でも、自らの愚行をすぐに忘れてしまう程度には人は愚かなのだと確信します。
「人間の愚かさと野望の墓標を…」と思わされる映画でした。

オープニングで人間の達成し得た、超高層ビルの威容をライトアップして見せ、ラストでは朽ち果てた、見る影もないそれを夜明けの風景と共に見せて欲しかった。
いい映画でした。

 

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