太陽を盗んだ男 (1979)
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俺の心を盗んだ映画
2005/02/16
by
Godzilla Style
2005.2/15(Tue) 日本映画専門チャンネルで録画しておいたものを鑑賞。
ゲストでミュージシャンの上田正樹さんが、この映画をキッカケに後の映画をあまり観なくなった、とか、マネーゲームとかイデオロギーとか、色々と難しい単語を使いながら熱く語っていましたが、本作は確かに熱く語るべき衝撃作でしょう。今、劇場で上映しても全く違和感がないと思う。はっきり言って、やばい。
まず本作の凄いところは、日本の歴史を扱った映画でありながらあくまでエンタメ路線を徹底している点です。
本作に出てくる登場人物たちは、観客が感情移入することを拒んでいます。主人公の心の動き、動機なんてものはよくつかめない。説教くさいことも言わない。あくまで原爆をめぐるサスペンスの中で真剣に動き続けています。
そもそも、戦争や原爆というものは存在そのものが異常なものなので、逆にそれが映画の雰囲気を引き出していると思います。
そして作り手も、下手をするとツッコミどころ満載の不謹慎な映画になってしまうところを、現実らしさを感じさせる描写を巧みに使い、独特なリアリティを生み出しています。
特に、音楽を井上堯之さんのロックにして、カルメン・マキ&OZの「私は風」やローリング・ストーンズ、レオやアトムなどを使い、リアリティだけじゃなく、映画をより一般向けにさせ、テーマをよりぼかした形で差し出しているのが好感を持てる。
なにもかもが不気味に進むこの映画。サワイレイコなど、美しいが実は主人公よりも不気味で恐ろしい。のめりこめないならばそれでいいかもしれない。ただ、自分はこの映画を観なければいけないような衝動に駆られてしまった。ツッコミどころや、疑問を越えて、映画に心を盗まれていく感覚に陥る作品というものにたまに出逢える。この映画はまさにそれでした。何か、作り手の物凄い意志を感じる映画というのは、たいがいそうなのかもしれない。
本作が今に繋がるものは何かを考えた時、出てきたことは、常に疑問を持ち続けないといつのまにか社会に操られていく危険があるということ。特に今はそれが問われてる時代。「勝手にしやがれ」じゃすまされないのだ。
本作がやりたかったのは原爆の恐怖を描くというよりも、そうした社会に対する問いかけ。主人公はその疑問を原爆によって振り解こうとしたんじゃないかと今となっては思う。原爆なら何か変えられると信じて、それでも変えられなくて、葛藤していく主人公は果てしなく哀しく映る。
皮肉にも今日は、あの国のあの人の誕生日。彼だけにとどまらず、世界の大国もまた、人を殺すためだけの太陽で何か変えようとして、結果的に多くのものを失い、自らの首を絞めている。その姿は、まさにジュリーが演じていた城戸誠にそっくりだ。
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