マイ・フェア・レディ (1964)
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英国階級社会の現実
2008/05/20
by
牧坂満
私説・英国紳士として、@貴族か、富豪の家に生まれること。A教育は、まずイートン、ハーロー、ラグビー等のパブリック・スクールを出ること。B職業は無職がBEST。もし就くなら大学教授、法廷弁護人、海軍士官、外交官、商品取引所のメンバー。C住居はロンドンではミュー(馬小屋を改造したもの)であること。D結婚は三十代後半か四十代初めにすること。それまで出来るだけ多くの女性と交際し、最後に一生の伴侶を決めること。E趣味はギャンブリング、ドリンキング、ハンティングの三つだけ。読書は推理小説に限定。F女王陛下からイーストエンドの労働者にまで、挙措を含めて幅広く対応出来る素養を持っていること。Gオクスフォードかケンブリッジの大学を卒業していること。以上が階級社会の英国に対する反感・揶揄・皮肉を込めての英国紳士像です。
本作品はギリシャ神話の“ピグマリオン”という原作を下敷きにしていますが、それは、主人公が自分で造った彫刻を愛してしまい、のちに神様にお願いして生身の人間になるというお話です。そして、心理学の用語にも“ピグマリオン効果”というものがありますが、教師が“この子には才能がある”と信じて、愛情を込めて教えると、それに呼応して成績が向上するというものです。
本作品は上記した英国紳士の条件を満たす教授が、下層階級のイライザを理想的な女性に仕立て上げていくシンデレラストーリーですが、英国紳士の鼻もちならない人間性と人格が分かります。それが、イライザをレディーにすることに教授が賭け(※ギャンブリングは英国紳士の条件)をしたことにあり。ヒギンズ教授がイライザの下品な訛りに興味を持ったのも憐憫の情からであって、そこには愛情は存在していませんでした。“ハンズロー育ちか?”、“母親はウェールズ人か?”といったセリフに見下した感情が推察出来るのです。
“The Rain In Spain”は現実にクイーンズ・イングリッシュの発音勉強の教材として使用したことを某・総合商社に勤務するTOEIC・880点の女性に聞いたことがありますが、天候と健康だけの話題限定ながら、マイ・フェア・レディーが誕生したシーンは見事です。オードリー・ヘプバーンの魅力全開といっていいでしょう。但し、歌声はマーニ・ニクソンの吹き替えなので、「戦場のアリア」同様に減点材料となってしまうのです。
【劇場名不詳】劇場鑑賞
【NHK・BSハイビジョン】鑑賞
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