パリ、テキサス (1984)
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さみしいアメリカ
2007/11/12
by
くりふ
ちょうど一年ほど前、フィルム上映でみました。
人物や物語はあまり、印象に残っていないのですが、
強烈に、風景の映像が心に焼きついてしまいました。
一年が過ぎても、どこか実体験のように記憶された、
『寂しいアメリカ』の各所が、思い出されます。
ただ広いだけの砂漠、西部劇みたいなゴーストタウン、
ひと気のない近代都市、それらをつなぐ、工場ラインを
流れる製品の如く、車が見えてしまう高速道路、等々…。
人口密度がえらく低いと感じる作品でした。
主要人物以外、数箇所にエキストラは出てきますが、
まったく背景に溶け込んでいたという印象です。
特にヒューストンの、銀色の都市部で、確か通行人が、
一人しか出てこなかったことが強烈でした。
本作の成立ちには詳しくないのですが、
ヴェンダース監督はロケハンで米国各地を回った際、
自ら風景写真を撮り、写真集にもしていたようですね。
風景の描写には、かなり拘ったんじゃないかと思います。
知覚の考え方で『図と地』というのがあると思います。
映画にザックリ当てはめちゃうと、役者が図、背景が地、
と言えるかと思うのですが、私は本作、地の方が強く、
雄弁であると、知覚してしまったようです。
スタントンさんもストックウェルさんも、ナタキンも、
よい仕事していたのは間違いないと思うのですが、
私にとって本作は、寂しいアメリカの風景、という、
動く写真集として、脳内に棲みついてしまいました。
映画をみたというより、夢でみたような感覚もあります。
とても不思議なかたちで、記憶をされた映画でした。
何やら、抽象的な表現になってしまいました。
が、奇妙な力を持った作品であることは
間違いないと思います。
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