アカルイミライ (2002)
»レビュー
毒を持つ者
2008/01/19
by
のびた
東京の夜の街をたまに歩くと、そこここに集う若者たちに、わけもなく恐怖感を感じたことがある。彼らは別に僕に危害を加えようとするわけではない。むしろ僕の存在など感知していないのに、勝手にこちらがそう感じてしまうのだ。僕は彼らの何に怯えていたのだろうか。
この映画に出てくる若者、仁村(オダギリジョー)と守(浅野忠信)は、共に心に毒を持って、クラゲのようにフワフワと世の中を漂っている。ただ、鑑賞する分には、美しく思えるが、手を出すと痛い目にあう。
毒。身の危険を感じたり、捕食の時に使うもののはずだ。この知識もなく、闇雲に彼らに触れようとするのが、二人の勤める会社の社長(笹野高史)だ。彼はただ、ボーナスをあげたり、正社員にすれば、自分になびくと勘違いし、全く彼らの心のうちを見ようともせず、あくまでも、自分の価値観を押しつける。そして刺されるのだ。
もう一人、彼らに触れようとするおじさんがいる。守の父・真一郎(藤竜也)だ。真一郎は息子たちとの関係を修復しきれなかった。その思いが、仁村に向けられる。やがて本音をぶつけあえる程の関係になる二人。真一郎が彼らに近づけたかどうかは、川を流れるクラゲを触ってどうなったかを見ればわかると思う。
真水にならそうとしたクラゲは、やがて海へ向かう。水清過ぎて、クラゲ住めずか。
オダギリジョー、映画初主演のこの作品。彼と浅野忠信は、掴み所のない若者像を見事に演じきっている。オダギリファンの女性が見て、この作品を受け入れられるかは、また別の問題である。かなりの毒を持ったこの作品。やはり、観る者を選ぶだろう。
7人がこのレビューに共感したと評価しています。
※ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。
返信を投稿
Copyright©2008 USEN GROUP All Rights Reserved.






