砂の器 (1974)
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ダイナッミックな映像美と音楽
2008/02/11
by
牧坂満
原作者の松本清張をして、過去における自分の原作が映像化されて、ことごとく失望させられているが、「私の原作を遥かに超えている」と言わしめた日本映画屈指の名作です。企画から完成までに14年間の歳月を費やしたといわれる橋本忍の脚本の情熱が見事に結実したものであり、昨今の日本映画の製作方法に対するアンチテーゼです。キーワードになる東北弁の「カメダ」は後の日本映画のエンターメントの傑作「踊る大走査線2・レインボーブリッジを封鎖せよ」での会話でも邦画の名作へのオマージュとして登場します。クライマックスでは捜査会議と東京交響楽団による演奏会、そして、親子が「カメダ」に行き着くまでの日本列島の原風景の春夏秋冬が三面同時進行して描かれており感動の涙を禁じえませんでした。当時は業病と呼ばれたハンセン氏病におかされた父と子供の遍路の道行きは、津軽の竜飛岬から信州、北陸、山陰と日本列島を縦断して撮影されており、本物の季節感溢れる名画面となっています。野村芳太郎監督の最高傑作にして、脚本が原作を超えた稀有の例であり、菅野光亮の書き下ろし交響曲をフルオーケストラで演奏した芸術の集大成による映画芸術を証明した作品です。この作品も邦画への興味がわかない方へ推薦する一本です。
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