俺たちに明日はない (1967)
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運命の87発は衝撃的
2008/03/10
by
牧坂満
私たちの世代が高校生だった時代に流行した、アメリカンニューシネマと呼ばれる作品の一つです。「卒業」、「イージーライダー」、「真夜中のカーボーイ」、「明日に向って撃て」、「タクシードライバー」等の作品群はニューシネマの範疇だけでなく、ハリウッド映画界での屈指の傑作にもなっています。
製作も手がけたウォーレン・ビューティはフランスのヌーベルバーグのジャン・リュック・ゴダールやフランソワ・トリュフォー、ルイ・マルの薫陶を受けたロバート・ベントン、デビッド・ニューマンの脚本を読み、トリュフォーやゴダールにオファーするも難色を示された経緯の結果、監督に「奇跡の人」のアーサー・ペンを指名したのです。題材はローリングトウェンティ・大恐慌時代に実在した男女のカップル銀行強盗を主人公にして、彼らの明日なき刹那的な人生が一気に描かれています。
有名なラストシーンでは、トンプスンM1921・ドラムマガジン付きサブマシンガン(別名、ミートチョッパー、シカゴピアノ、タイプライターと呼ばれ、ドラムマガジンには100連発の弾丸をロード出来た)を装備した警官隊の待ち伏せにより、ボニーとクライドが87発の銃弾を全身に浴びて倒れるスローモーションシーンは、映画公開当時、アメリカ国内では暴力描写過多と非難轟々でしたが、逆にヨーロッパ諸国では大反響を呼んで迎えられ、アメリカに逆輸入された逸話があります。…それは、藪から突然、飛び立った数羽の鳥を見て瞬時に最期の時が来たことを悟ったボーニーとクライドがお互いに見交わす顔と顔。ほんの数秒のカット、セリフは無くともセリフ以上の思いが込められたクローズ・アップ。この瞬間、彼らは未だ生きていた。この瞬間に彼ら二人の人生が凝縮されているようで見事なショットです。そして、87発の銃弾を全身に浴びせられるスローモーションシーンは、「死のダンス」と称されるほど衝撃的で、映像的に美しいものでした。サム・ペキンパー監督による「ワイルドバンチ」や「ゲッタウェイ」での銃撃戦の場面でもこのスローモーションが多用されているのです。
トンプスンM1921・ドラムマガジン付きサブマシンガン=タイプライターの異名はゲーム「バイオハザード・4」のレオン・ケネディの主力武器としても登場していますが、20世紀前半の大恐慌時代を描いたクライムムービーには必ずといっていいほど登場して、異名通りの殺傷能力が凄まじい映像を作り上げています。
11人がこのレビューに共感したと評価しています。
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Re: 運命の87発は衝撃的
2008/03/10 by
ラブアゲイン
> 藪から突然、飛び立った数羽の鳥を見て瞬時に最期の時が来たことを悟ったボーニーとクライドがお互いに見交わす顔と顔。ほんの数秒のカット、セリフは無くともセリフ以上の思いが込められたクローズ・アップ。この瞬間、彼らは未だ生きていた。この瞬間に彼ら二人の人生が凝縮されているようで見事なショットです。
こんにちは、牧坂満さん。ラブアゲインです。
この映画のラストシーンの素晴らしさを語る牧坂さんの見事な解説に敬服いたします。 -
仁義ある「ラブアゲイン」さん、ありがとうございます
2008/03/11 by
牧坂満
イタリアンウエスタンと東映任侠映画・実録やくざ映画に詳しい「牧坂満」と申します。「俺たちに明日はない」の寸評に目をとめて頂きまして有難うございました。高校二年生のときに鑑賞した映画だったのですが、クライマックスシーンの一瞬の映像は今でも焼き付いています。
但し、「この瞬間、彼らは未だ生きていた」のフレーズは、東映映画の中島貞夫監督・作品「ああ同期の桜」で、記録実写フィルムを挿入して米軍の軍艦にゼロ戦が体当たりする寸前をストップモーションにしてエンディングを迎えたときに、画面にスーパーインポーズされたものです。
高校一年生で鑑賞した「ああ同期の桜」のエンディングのフレーズが鮮烈な記憶としてあったので「俺たちに明日はない」で使用致しました。他は私のオリジナルです。
「仁義なき戦い」シリーズは私も大好きな作品です。近々、寸評を推敲し直しますので、宜しくお願い致します。
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