ディア・ハンター (1978)
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高く評価はしますが、好きではありません
2008/04/12
by
じょりちょこ
力作です。他に似たタイプの映画はあまりなく、映画ファンなら一度は観るべき映画の一本だと思います。
陰々滅々たる映画なので、楽しい気分になれる作品とは言えません。戦争が人間をどう破壊するかというところに焦点があるので、無理もないところです。シリアスに物事を考えたくないときに観る映画ではありません。しかし、一度観始めてしまえば、その真摯な作風と強烈なドラマに目を離せなくなることでしょう。
とはいえ、個人的には好きになれない作品です。
ベトナム戦争にアメリカが介入したのは「アメリカの選択」であって、ベトナムがアメリカを介入せざるを得ないところへ追い込んだわけではありません。
ベトナム戦争で傷ついたアメリカ人は、ベトナムによって傷ついたのではなく、アメリカによって傷ついたはずです。
この映画では主人公たちはベトナム戦争の被害者として描かれます。その視点は大いに価値のあるものだと思いますが、それにしては加害者であるはずのアメリカが責められず、むしろ同じように被害者であるはずのベトコンの残虐性が強調されていることには違和感をぬぐえません。
もちろん、ここでは主人公たちの視点に集中することでリアルなドラマになっているのであり、アメリカを加害者として糾弾してしまったらこの映画が壊れてしまうことは認めます。この映画を名作にしているのは、徹底して主人公たちの視点におけるリアルさを追求したところにあると思いますので、僕の違和感は不当と言えば不当なものです。
言わば、本作は誰もが好きになれる作品ではない、というところに価値があるのだと思います。
個人的には好きになれない作品ですが、素晴らしい作品だと思います。
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Re: 高く評価はしますが、好きではありません
2008/04/12 by
夢寝由来
> 陰々滅々たる映画なので、楽しい気分になれる作品とは言えません…しかし、一度観始めてしまえば、その真摯な作風と強烈なドラマに目を離せなくなることでしょう。
映画の完成度の高さは認めるが好きじゃない作品は私にもたくさんあります。
> ベトナム戦争にアメリカが介入したのは「アメリカの選択」であって、ベトナムがアメリカを介入せざるを得ないところへ追い込んだわけではありません。
あなたのおっしゃるとおりです。
オリバー・ストーンが「7月4日に生まれて」でアカデミー賞のスピーチでいきなり“ベトナムはまだ終わっちゃいない”と言った時にも“正当化するな!”と腹が立ちました。
本作を含む1970年代の映画全般、特にベトナム帰還兵後遺症物は私の鬼門です。当時のポリスアクションに登場する犯罪者の多くはベトナム帰還兵でした。
だから私は多くの観客と同様に「スター・ウォーズ」に逃げました。
しかし“喰わず嫌い”を克服して或いは先入観を捨てて観賞されたあなたに敬意を表します。 -
Re: 高く評価はしますが、好きではありません
2008/04/12 by
星空のマリオネット
じょりちょこさん、こんにちは。
じょりちょこさんが書かれていることはよく理解できますし、凡そそのとおりなんだと思います。また、ベトナムのシーンは『・・・アメリカ人から見た悪夢の描写・・・』という捉え方もありますが、だからと言って批判を免れることができるわけではありませんよね。
(『 』内は、この映画の「関連DVD」のページにある「解説」の中の一節です。前半のアメリカの田舎町のシーンに関するコメントを含め分かりやすい解説になっていると思います。【注意】ただ、終盤前までのごくごくおおまかなストーリーが簡記されているので、気になる方は見ない方がよいかもしれません!)
解説的に説明するのは味気ないかもしれませんが、この映画の主題は、「戦争によって壊されてしまった仲間と良き共同体を、そしてアメリカ人としてのプライドを、何とか取り戻したいという、痛切で叶えがたい願いを救済的に描くこと。」にあったように思います。
夢寝由来さん、こんにちは。
夢寝由来さんは、映画については好き嫌いをはっきり分けられているのでしょうか。
私自身はこだわりのない方だと思いますが、それでも西部劇やSFなど余り見ていないジャンルもあります。
ただ、このサイトのお陰で観る映画の世界は少しずつ広がってきたように思います。
さらに言えば、いろいろな映画があるように、映画の楽しみ方もいろいろとあるものですね。
なお、なぜか私もオリバー・ストーン監督は苦手です。何がきっかけで嫌いになったのかはよく覚えていませんが、いまや完全に食わず嫌いの状態になってしまっています。 -
Re: 高く評価はしますが、好きではありません
2008/04/12 by
夢寝由来
星空のマリオネットさん、こんにちは
幾度かあなたのレビュー拝読しております。
>映画については好き嫌いをはっきり分けられているのでしょうか。
はい。心が狭いのでご容赦下さい。
但し私もじゃりちょこさんと同じく本作は名画として認めます。だが決してリピーターにはなれません。
重複しますが私は1970年代中高生〜大学生の頃に映画館で新作を見る度に何度も陰々滅々な気分になってその要因を追求するとベトナム戦争とその後遺症が反映されていると判断しそれがトラウマ(喰わず嫌いの本質でしょう)になり慢性に克服できない状態です。
一時期デ・ニーロ主演作を続けて見たがやはりマーロン・ブランドに通じる物を感じで鬼門になりました。
私はHNの通り映画は「夢」を売る物であって欲しいという持論なのでリアリズムが合いません。
無論、荒唐無稽が度を越したシモネタ満載のお馬鹿ムービーも敬遠しますが…。
>なぜか私もオリバー・ストーン監督は苦手です。何がきっかけで嫌いになったのかはよく覚えていませんが、いまや完全に食わず嫌いの状態になってしまっています。
ストーン自身がベトナム戦傷帰還兵でそれをインタビューで同情を得るように語り過ぎ同時に本人及びストーン支持派が同世代のジョージ・ルーカスとスティーヴン・スピルバーグを『ベトナム世代のくせにベトナムを避けている』と自分の価値観で批判したからではないでしょうか? -
夢寝由来さんへ
2008/04/12 by
星空のマリオネット
夢寝由来さんのいう「夢」とは何でしょうか?
私は夢寝さんのレビューを読んだ影響で何本かの映画を観ましたが、「男の美学」のようなものを感じさせられる映画が多いように思いました。
娯楽的な映画であろうとなかろうと、ハッピーエンドであろうとなかろうと、アメリカ的な活力ある映画。
物事を切り拓いていこうとする男の姿や、滅びゆく男の姿を描いた「活劇」。
そんな「男の美学」が夢寝さんが映画に求める「夢」なのでしょうか。
(単純化しすぎていたり、誤解があったりしたら、ごめんなさい。)
そして、多分、映画に求める「夢」は、人によって様々だと思うのです。
PS
オリバー・ストーン監督の上の発言は知りませんでした。私の場合、彼の映画の語り口そのものに馴染めなかったということもあるように思います。少し傲慢な感じが・・・
それから、本題のチミノ監督の「ディア・ハンター」は、今回約30年ぶりに観ましたが、次回観るのは、また何十年か先のことだと思います・・・結果として、今回が最後になるかも。
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