007 カジノ・ロワイヤル (2006)
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007シリーズ・屈指の傑作
2008/05/01
by
牧坂満
マンネリ感が否めなかった007・シリーズから脱皮しようとする努力は、冒頭の工事現場に展開される“サスケ・競技”のような追跡劇の凄さに現れています。建設業界に従事する者とすれば、ユンボ(パワーショベル)のバケットが一撃した位でRC(鉄筋コンクリート)は破壊されないと断言出来ますが、スタッフの熱意に免じて大目に見ましょう。イアン・フレミングの原作はアメリカ合衆国大統領だったJ・F・Kも愛読者だったようですが、早熟な私も密かに中学生時代から愛読していました。「カジノ・ロワイヤル」の映画化はショーン・コネリーのボンド時代の全盛期に、この原作だけの映画化権利を持っていたコロムビア映画が、コネリー・ボンドのイメージが強烈すぎるのを嫌って、全く違ったコメディータッチの作品として1967年に製作されていますが、見るも無残な結果に終わっています。
その原作・第一作「カジノ・ロワイヤル」をリメイクしたのが本作品です。映画全体は、よりスタイリッシュな作風となっていますが、酒に関する拘り、ボンドが恋人の名前を冠した“ヴェスパー・マティーニ”がその最たるモノです。マティーニは、ジンかウオツカにハーブで風味付けした白ワインのベルモットをミックスして、スタッフド・オリーブを沈め、レモンを飾り付けるのですが、ゴードン・ジンを3に、穀類で作ったウオツカを1、キナ・レリのベルモットを三分の一。それをステアーするのではなくシェイクしてレモンの皮を落とし込むのです。ボンドは他の作品でもしばしば、ドライマティーニを注文していますが、ステアーではなくシェイクするようにと注文しているのです。ホテルのバーで作って貰って分かったのですが、シェイクした方が口当たりが柔らかくなり洗練された味になります。美女を口説こうと思ったら、ホテル最上階で夜景が見渡せるバーで“ヴェスパー・マティーニ”を酌み交わしてみては如何でしょう。
ニューボンドにダニエル・クレイグを起用したことに賛否両論がありましたが、「ロシアより愛をこめて」のスペクターの殺し屋を演じたロバート・ショウのような筋肉美もさることながら、「女王陛下の007」でのジョージ・レーゼンビーのように一人の女を真剣に愛する姿勢は女性ファンも獲得したようです。ボンド役が変更される度に“構造改革”が断行されてきましたが、コネリー・ボンドに対抗出来るニューボンドの行方を見守って行きたいと思います。
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