散歩する惑星 (2000) »レビュー

ゆるゆるなのに圧迫感

80点 2008/05/22 by くりふ

散歩する惑星

邦題の意図はよくわからないのですが、地球上の物語らしい。地球が散歩に出かけた影響で、地表の人間界が微妙に狂う、という意味? それなら面白い。原題の訳はわかりませんが、英題は『SONGS FROM THE SECOND FLOOR』。歌が別階層から、微妙に聞こえてくることを伝えたいのかな。

庶民たちの日常生活が、R・アンダーソン監督の独自の視点…
笑っちゃうような悲劇を慈しむ…という串で貫かれ進みます。
異世界のような舞台で、シュールと微笑がループする群像劇。
劇場公開時の惹句は「ジャック・タチ meets キューブリック」。

突然解雇や、火事全焼や、超自然ストーキングや、生贄? 等、
悪いエピソードばかりが並びますが、何故か暗くはならない。
かといって豪快に笑い飛ばせない。灰色なのに明確な導線。
「慈しみ」が効いているのでしょうか。嵌りましたね、コレ。
極北一歩手前の国で生まれたセンスってこうなのか、と感心。
み終わると、体のヘンな部位から元気が出るようでした。

引用されるペルーの詩人セサル・バジェホの詩が、
枕言葉のように「慈しむべきは…」と連発されて明快です。
中でも「慈しむべきは、貧しくとも映画にいく者」
というのがあり、きちんと観客を慈しんでるじゃん、と微笑。

DVDでしたが、終盤が飛び抜けてよくて、ここだけでも、
劇場でみたかったですね。画として凄く広がりがありました。
じわじわと、遠くからすり寄ってくる、視覚化された終焉。
対して山と積まれてゆく、役立たずで笑えるお救いグッズ。
生きる先は見えないのに、開けた地平はどこまでも続く…。
「アンゲロプロス meets ロメロ」と言いたくなりました(笑)。

ABBAのキーボード担当ベニー・アンダーソンによる音楽が、
素っ頓狂に明るく、一度おぼえてしまうと、
しばらく耳から離れないですね。

 

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