渇き (1957) »レビュー

死に至るニヒリズム

80点 2005/10/05 by Baad

確かに映画史に残る傑作である、ということは否定しようのない事実なのだけれど、このようなストーリーラインでしかこの物語が描かれ得なかったこと、にもかかわらずこの映画が商業映画として興行的に大成功してしまったらしいこと(つまり、この映画の叫びに同調する観客が多くいたらしいこと)に関しては深い悲しみを禁じ得ない。グル・ダットの初期の娯楽映画のバランスの良い明るいタッチと完成度の高さを思うと、この映画が成功しなければ、また別の方向もあり得たのではないかとつい思ってしまうから。
ストーリーラインの過激さは鋭敏と言うよりは、あちら側の世界の人のものとしか思えないので(大コケした「紙の花」でさえ、これよりはまとも。もっとも物語自体はこれより更に退屈ですが)物語自体はせいぜい60点ぐらいにしか評価できませんが、その他の部分があまりに素晴らしいのでこの評価。
特に特質すべきはミュージカルシーンと音楽と歌詞のすばらしさで、作詞者は詩人としても名高いらしいのですが、歌謡的なぶぶんと主人公の創った詩の部分が見事に描き分けられていて驚かされます。

 

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