青春残酷物語 (1960) »レビュー

安保の年、1960年の映画

70点 2008/05/06 by 星空のマリオネット

大島渚監督の初期の代表作。
無軌道な若者たちの敗北を描いたこの「青春残酷物語」は、松竹大船調を完全に否定。60年安保の年、日本のヌーベルヴァーグの旗揚げとなった衝撃作。当時の若者たちには強い共感をもって迎えられたようです。
私は今回初めて観ました。

因みに、1960年6月に公開された「青春残酷物語」に続き、同年10月に公開されたのが、同じく大島監督の政治論争劇「日本の夜と霧」。ところがこの作品は公開後わずか4日で打ち切られてしまい、激怒した大島は松竹を退社し独立。
この「日本の夜と霧」については、大学生になりたての頃名画座で観ました。安保闘争や仲間の裏切りを巡り、激しい議論や憎しみの応酬が延々と続く驚くべき映画で、圧倒されっぱなしでした。こんな世界があったのかと。

さて、この「青春残酷物語」。
世の中に対する怒りをぶつけたという大島監督。本当のデモ隊を撮ったのは日本映画で初めてではないかとの監督の弁。何も所有していない若者の既に所有者である大人への反発。パッピーエンドを拒否する姿勢。
しかし、輝いていた二人も大人の波に飲み込まれ、道端にぼろきれのような姿を晒す。

ところで、海に臨む貯木場(新木場)での川津祐介と桑野みゆきのシーンなど、当時は鮮烈だったのではないかと想像されますが、いま初めて観て同様のショックを受けたり共感したりするのは難しいように思いました。それは、「青春残酷物語」の後に亜流映画が沢山撮られたことによって、既に新鮮さを失い観る側が慣れてしまっているという面もあるでしょう。
残念ながら、大島監督のコアの部分に辿り着くなんてことは、私にはできませんでした。

 

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