オーシャン・オブ・ファイヤー (2004)
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ムスタングの瞳
2007/07/04
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Mの隠し玉
自動車ラリーの映画は数々あれど、馬を駆っての長距離レース映画とはなかなか珍しい。昔々、アメリカ西部を舞台にした”弾丸を噛め”('75)なる同趣向の一篇がありましたが、これが変にヒネリを加えた作風で今ひとつ後味がよろしくなかったのに対し、こいつはスッキリまとまったプロットに、アラブの砂漠を疾走する冒険活劇仕立ても痛快なハリウッド娯楽映画の面白さが横溢する佳篇でありました。
19世紀末、アラブの豪族達が主催する伝統的なアラブ馬のレースに、ムスタング種の愛馬とともに初めて挑戦したアメリカ人。しかも、その主人公はネイティブ・アメリカン(スー族)との混血だったと云う設定は、お話的にも登場人物のキャラ的にも、今どきのご時世に合わせていくらでも安っぽいイジクリが加えられるコンテンツでしたが、この映画はあくまでオーソドックスな辺境冒険劇に徹してみせます。演出のジョー・ジョンストン以下の作り手達は、観客を自然にリラックスさせて映画を楽しませる呼吸と語り口を身につけているようで、CG/VFXの使い方やらドラマ展開における活劇場面の配合加減やらにおいても絶妙なるバランス感覚を発揮しています。かといって、ハリウッドのエンタティンメントが何よりも必須とするある種のデタラメさや荒唐無稽さからは決して腰が引けていない、むしろそれらがしっかりと映画の面白さを増幅させる活力として生かされている処に感心させられました。最初はアラブ世界の民から反発と軽蔑を喰らっていた主人公と愛馬が、試練の旅を続けているうちに次第に異境の人々の中にその存在が認められてゆくと云った、いささかありふれた展開がすんなりと素直に受け止められるのは、なにより数少なくった良きハリウッド職人達の腕の冴えの成果でありましょう。耐久レースのキャンプ地に翻るアラブの各部族の旗に混ざって、異国から来た主人公が背負うのが星条旗なんかでなく、スー族の旗(そんなもん、あったんかいな?)だったと云う愉快な点景に、例えばラウォール・ウォルシュやらアラン・ドワンほどの練達ぶりには未だ至っていないものの、今を生きるJ・ジョンストン監督の持つ職人技のセンス良き磨きっぷりを垣間みた思いでした。
その演出者がニガ手としているのか、主役を演ずるヴィゴ・モーテンセンの朴訥とした持ち味からか、アラブ族長の娘や英国貴族婦人との男女関係のカラミ描写はえらく淡白で、その変わりに主人公と相棒の俊馬ヒダルゴとの交流が強調されます。そして、この栗色と白色もまだら馬の主人公をみつめる瞳のまたなんと艶ぽいことか・・・。
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