幸福の黄色いハンカチ (1977) »レビュー

黄色の意味するところ

60点 2005/08/29 by 倉島穂高

 小6か中1の頃にリーダーズ・ダイジェスト日本版に載っていたピート・ハミルの原作を読みました。タイミングから考えておそらくこの映画の公開に合わせた掲載だったんでしょうね。初出時に大評判になった、という付記があったような気がする。しかし本ばかり読んで頭でっかちなおませ少女は、「なんなの、このありきたりの話は? ケッ!」ってなもんでした。この時から現在に至るまで「なんで黄色?」という疑問が解けません。
 私が小学生の頃は黄色は「○チガイ色」とか言われて、あまり人気がなかったんですよ。「男の子色」にも「女の子色」にも分類できないから、メッセージ性のない、イメージのはっきりしない色と感じられたのかもしれません。赤なら燃えるハートの色だし、青なら日本人的には(欧米人なら緑かな)ゴーサインのイメージだからいいとして、なんでわざわざ黄色?! そんな色を選ぶからには、そこに何らかの深い意味がなけりゃ納得できないと思っちゃったのね。まあ、アメリカ人には何らかの意味があるに違いない、カウボーイが巻くスカーフなんかは黄色がポピュラーなのかも、と無理やり納得したのですが……
 この映画を観て、ますます「なんで黄色?」の疑問はつのるばかり。「黄色いハンカチ」ってアメリカ以上に、日本人の日常生活にはありえない存在でしょ。そりゃお話的には何色だっていいんでしょう。どの色を選ぶかなんて重要な問題ではないのかもしれません。でも、黄色という色が「わざわざ選ぶ色」に思えない私の感性には、どうにもこうにも受け入れがたいイメージなの。ましてや健さんに倍賞千恵子ときては、ますます黄色いハンカチのイメージから遠い。あの健さんが何を思って黄色いハンカチなんて突拍子もないモノを思いついたのか、武田鉄矢も桃井かおりも疑問に思わんのかい?!って八つ当たりめいた思いまでわいてきて……この点について、本当に誰も疑問に思わないのでしょうか? それとも映画の中にはそれなりの説明があったのを私が忘れているだけ??? 例えば主人公は八王子出身で、故郷の銀杏並木が彼の原風景だとでもいうのなら、あの黄色い満艦飾も大いに納得なんですがね。
 しかしまあ、ほとんどショートショートみたいな短編をあれだけふくらませた手腕と、わかりきった結末へ向かう盛り上げ方はたいしたものです。その点は評価できます。

 

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  • 兵隊さんの無事帰還を祈るポピュラーな色なんですよ

    2005/08/29 by 未登録ユーザ 素子様命

    黄色は英国では伝統的に身を守ってくれる色だそうで、
    その言い伝えがアメリカに渡って
    南北戦争時などに
    「愛しい貴方に黄色いリボンを贈って
    戦地からの無事帰還を祈る」
    習慣になったそうです。
    (SOS系の色って黄色ですよね。
    多少暗くても目につく色であり、
    ケガ人の発見が早まる→
    救急治療は時間が勝負
    ってところで黄色を身につけていた人が
    命広いするケースが、
    イギリスでは経験則で知られていたのでしょうね。)

    山田監督はどうもそこまで由来をほじくってなかったようで、
    自分の映画の元ネタにしたのは
    米国の習慣を抜きにしては語れない
    米国の「幸福の黄色いリボン」の話
    (大ヒットした歌の方かね?)でありながら、
    「映画のハンカチは夫婦愛の証し。
    戦争に行く兵士の無事を願うこととは本質的に違う」
    と、チト見当違いなコメントを出したことがあるようです。

    戦地の兵隊さんへの黄色いリボンは
    伝統的な正しい使われ方であり、
    山田センセの思っていたモンと違って
    残念ではありましたが...

  • スイマセン。補足を少し...

    2005/08/29 by 未登録ユーザ 素子様命

    > チト見当違いなコメント

    監督がこのコメントを出したのは
    自衛隊員の海外派兵時で、
    彼らのお身内は由来に忠実な
    伝統的な黄色いリボン運動をしていたわけなのでした。

  • Re: 黄色の意味するところ

    2005/08/29 by ekoeko

    そういえば、ずばり、
    ジョン・フォード監督の『黄色いリボン』
    なんてのがありましたね。

    それと、
    倍賞千恵子さんが山田監督に、
    アメリカのドーンというグループが
    歌って大ヒットした
    『幸福の黄色いリボン』という歌を
    紹介したことが始まりだったそうで。

  • そう、つまるところ山田監督の「ほじくり」

    2005/08/29 by 倉島穂高

     当時の気持ちに忠実に書いてみたので、無知をさらすような内容になってしまいましたが……素子様命さんの解説にあるような「由来」があるだろうということは子供なりに推測していたのですが、山田監督がその点をスルーしてそのまま日本の映画に輸入しちゃったセンスが理解しがたいのです。
     例えば『ヴィレッジ』の村においては「赤」が禁忌の色とされていましたよね。その合理的な理由は何も説明されていませんでしたが、赤を禁じるという感覚は、文化の枠を超えて直感的に納得できると思いませんか? 「ヤバいものの象徴」という意味合いとも「華美をいましめる」という意味合いともとれます。それに対して、穏健な黄色のほうが安全ということも相対的に納得できる。
     でも黄色が再会の目印、愛のシンボルといわれてもピンとこないです。1970年代当時、日本ではおそらくピート・ハミルの原作よりも「黄色いリボン」の歌のほうが有名だったのでは? ジョン・ウェイン主演の西部劇なら、オールドファンにとって周知だったのかもしれないし。だったら黄色い「リボン」のほうがまだしも「ハンカチ」よりは邦画に翻案するにはしっくりきたと思うんですよね……まあ結局のところ映画はヒットし、あの黄色いハンカチがはためく絵も結果として日本国民の胸に焼きついたわけだから、今さら私ごときが由来をほじくったってなんのたしにもなりませんが。
     余談ですが、私の本名には色を表す漢字が入っています。私が主人公の立場だったら、絶対にその色のものを飾るように頼みますね。だから色にこだわってしまうのかな。でもそんな名前でなかったとしても、自分の好きな色とか、ふたりの思い出にちなんだものを頼むと思う。私が桃井かおりの立場だったら、「黄色いハンカチ〜? 変わってるわね。なんか、奥さんとの思い出でもあるの?」って訊かずにはおれません。その理由の内容が重要なのではなく、そこに疑問を持たない山田監督の鈍感さがイヤです。

  • 幸せのハンカチって何色?

    2005/08/30 by 理屈屋

    倉島穂高さん、皆さん、今日は。
    ご意見に興味を持ってしまい、書き込みしますことをお許し下さい。
    健さんが手紙を書く時に「何色のハンカチ?」って考えているのを頭に浮かべてみると、確かに「黄色!」と思い至るのには少し変な感じがしますね。
    黄色って色は確かに「○チガイ」色って子供の頃に私も言っておりました。
    黄色い救急車が迎えに来る、とかなんとか…。
    で、紫色は青でも赤でもない欲求不満の色とかって、私どもの地方の子らは言っておったものです、意味もよく分からず。

    ただ「幸せの○色のハンカチ」ってことを考えた時に「黄色は案外幸せっぽいかな」とは思います。
    青空に映えそうだし。
    青や緑の寒色系にはなりにくいだろうし、かと言って赤やオレンジはハデかなと。ピンクもいいかなって気もしますが、ピンクのハンカチがはためいているのは、少しエッチな感じがしないでもない。
    で、結局、やっぱ黄色かな〜ってなってしまいますね。
    皆さんの幸せのハンカチのイメージは何色でしょうか?

  • 黄色はよく見える

    2005/09/28 by 未登録ユーザ odys

    亀レス、すみません。
    今頃になってこのスレに気づいたので。

    私がこの映画を見たのはずいぶん昔で、細部は覚えていませんし、あまり感動した記憶もないのですが、黄色ということに疑問を覚えたことはありませんでした。

    どうしてかというと、私が小学生の頃は黄色い帽子をかぶって通学していたからです。黄色は一番目立つ色だから、ドライバーに遠くからでも気づいてもらえるように、つまり交通事故を防ぐようにと、全員黄色い帽子をかぶることが義務づけられていました。
    そして交差点には「緑のおばさん」がいて、渡っていいときは旗を道路に差し出すのですが、その旗も黄色でした。

    というような子供時代を送ったせいか、健さんが倍賞千恵子に「戻っていいなら黄色いハンカチを」と指定したのは、遠くからでもよく見えるようにということだろう、と勝手に決め込んでいたのですね。

    ここで色々な方の書き込みを拝見して、私の思い込みはうち砕かれたのですが、でも素子様命さんの書き込みにも目立つ色だということは書いてあるし、「遠くからでもよく見えるから」説も捨てたものじゃないと思うんですが・・・(笑)?

  • Re: 黄色の意味するところ

    2005/09/29 by 未登録ユーザ りりこ

    >1970年代当時、日本ではおそらくピート・ハミルの原作よりも「黄色いリボン」の歌のほうが有名だったのでは? 

    ドーンの「幸せの黄色いリボン」が一番有名だったんではないかなあ。この映画のタイトルを見てすぐピンときたのがドーンの歌のことだったし、歌の内容は大体知っていたので映画もどんな話なのか、このタイトルですぐ見当がつきました。そういう、観客の「食いつき」を狙っての「黄色いハンカチ」なんではないかしらん・・・と、当時の私は思っておりました。  

  • Re: 黄色の意味するところ

    2005/09/29 by 未登録ユーザ 素子様命

    >そういう、観客の「食いつき」を狙っての「黄色いハンカチ」なんではないかしらん・・・と、当時の私は思っておりました。

    もうバリバリ狙ってたでしょう。(^▽^笑)
    私はその当時はまだ子供なんで、
    日本の歌謡曲ならともかく、
    その時ヒットしていた「洋楽」には詳しくないんですが、
    アメリカでドーンの曲が大ヒットしたのが73年で、
    日本でも「懐かしの洋楽CD」のたぐいに
    収録されるほど認知度は高い曲のようです。
    日本での流行が少し遅れてやってきたのは
    想像にかたくなく、
    そしてこの映画は1977年であるときた日には...

    つまり観客の共通認識として
    この流行歌があることを前提にした
    「黄色」なんでしょうね。
    それは流行歌を流行させた世代以外に
    意味が通じなくなるという事態を招きます。
    (ちなみに詩の内容は
    ハンカチがリボンになっただけです。
    こっちのリボンの方が本家ですがね。)

    アメリカにおいて
    伝統に裏打ちされた重要な意味のあった黄色、
    つまり全世代に渡って共通の認識のある黄色
    (それも「リボン」でなければならなかった)を、
    どうもあまりつきつめずに使ったフシのある山田監督。
    倉島さんの疑問はしごくもっともだと思います。
    もっとも千人針をはためかすわけにはいかんでしょうが...

    日本で「私はあなたの帰りを待っている」
    という意味になる
    モノとか色ってなんでしょうネ???

  • The Call for Far-away Hills

    2005/09/30 by 未登録ユーザ りりこ

    そういえば山田洋次監督、やはり健さん主演でこの後に「遥かなる山の呼び声」というのを作っていましたっけ。これも知ってる人はすぐピンと来る、ジョージ・スティーヴンス監督の名作西部劇「シェーン」の主題歌をそのままタイトルに頂き、内容も『シェーン』の日本版リメイクといっていいもの。「幸福の黄色いハンカチ」と同じコンセプトの姉妹編のような映画でした。「柳の下のどぜう」を狙ったんでしょうか。・・・山田監督というと日本的情緒(映画言葉でいうと大船調?)の代表選手のように見られていますが、意外とアメリカ映画の影響が強いのかもしれません。
    「シェーン! コメ、バック!(=シェーン! 米、返せ!)」英語を習いたての私はCOMEをわざとローマ字読みにして、あのラストの少年の叫びをパロって喜んだものでした(さすがに「シェーン」はリアルタイムでは見ていないんですが。あの少年の叫びだけはなぜか知っていました)。
    昔なつかしの蛇足をば、ついつい失礼いたしました。

  • Re: 黄色の意味するところ

    2005/09/30 by 未登録ユーザ 素子様命

    米国が日本の映画をパクリ、
    日本が米国の映画をパクる。
    そういうことに鷹揚だった時代に
    映画を量産することを課せられた
    監督だということではないかと。
    (「家族」と「怒りの葡萄」の類似も指摘されてますね。)

    基本的にパクリでもパロディでもオマージュでも
    インスパイアでも構いやしないし、
    外国作品を自国風土に合うものに翻案するのも、
    非常におもしろい作品になることもあります。

    しかし、やはり今日的感覚からすると、
    これらが「原案:XXX」とか「リメイク」と
    呼ばれずにいるのに、チト不思議感は覚えます。
    (「七人の侍」→「荒野の七人」の敵討ちか?
    といいたいところですが、
    あちらはちゃんと翻訳権は買いとってのことであり、
    リメイクであることは明かにしてんですよね。)

    個人的には犯罪の内容がなんであれ
    刑務所から帰ってくるというシチュエーションで
    あそこまでハデなお出迎えは
    「ありがたいけど、ご遠慮願いたい」
    と感じてしまいます。

    そういうところちょっと、良い悪いはともかく、
    日本人的感性へのフィックスは行われておらず、
    だいぶアメリカン入ったままだと思いますよ。
    ロード・ムービーってのがそもそもアメリカンな形態だし。
    それがまたまぶしかった時代でもあったと。
    (あまりきちんとフィックスしてしまうと、
    かの流行り歌との関連が薄くなり...
    というのがあったとも思いますが。)

    最近時代劇にご執心なのも、
    日本的な感性ときっちり向き合ってみたくなったせいかも。

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