のど自慢 (1999)
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ドラマのある歌の素晴らしさ!
2008/05/21
by
星空のマリオネット
とても好きな映画です。
コテコテの人情物で、わざとらしく感じてしまうシーンも沢山あります。映像的に特に印象に残る場面はありません。でも、私はすっかり嵌(はま)ってしまいました。
日曜昼のNHK「のど自慢」が好きです。
歌謡曲が好きだし、ドラマのある歌声が好きです。
どさ回りの売れない演歌歌手、崖っぷちの赤城麗子、室井滋にすっかり感情移入させられました。室井滋は抑制された演技で、惰性と哀しみと歌う喜びを表現していて、素晴らしかったと思います。
彼女と二人、どさ回りのわびしい旅を続ける中年男のマネージャー尾藤イサオ。彼もとてもいい。
のど自慢の晴れの舞台を目指す一癖ある人物たちが、それぞれに魅力的。
失業中だけれど楽天的なお父ちゃん、ハウンドドッグの大友康平が歌うのは、「また逢う日まで」 ・・・ 再出発を誓う!
スナックのママさんである母りりィ、家を飛び出していく姉初瀬かおる。その二人と暮らす妹の女子高生、伊藤歩が歌うのは、「花」 ・・・ 姉の幸せを祈る!
自閉症の孫が強く生きていく姿を見たい頑固な老人、北村和夫が歌うのは、「上を向いて歩こう」 ・・・ 孫を励ます!
彼や彼女を見守る家族たち一人一人が、またいい。
演歌歌手室井滋の父、町の理髪店主を小林稔侍。無口な父は娘の幸せを遠くから強く強く願っている。
失業中のお父ちゃん、大友康平の妻と娘たち、チャーミングな松田美由紀(故松田優作の奥さん)と可愛い子役たち。お父ちゃんのことを皆が大好きで励まし合っている。明るさ一杯、一所懸命な家族。
群馬県桐生市で開かれる「のど自慢」大会。テレビへの出場者を決める予選会と本番にそれぞれドラマがあります。浮き立つ町。
NHKのど自慢の顔、元NHKアナウンサーの金子辰雄さん本人が本人役で登場していて、否が応でも臨場感が高まります。
実際の「NHKのど自慢」を観ていても感じることですが、出場者一人一人にドラマがあります・・・人とのつながり 感謝 希望 愛。
彼らはプロのように上手くはないけれど、歌が輝いて聴こえる時があるのです。
赤城麗子はそんな舞台で何を思って歌うのか? 歌うは岡本真夜の「TOMORROW」!
(・・・ 涙の数だけ強くなろうよ 風に揺れてる花のように 自分をそのまま信じていてね 明日は来るよ どんな時も ・・・)
寂しいとき、落ち込んだときに観てみて下さい。
気持ちの良い涙が流せるし、少しは元気になれるかもしれません。
(エンディングで出演者たちの歌が聴けるのが嬉しい。本編では聴くことのできなかった本職の歌手たちも加わっています。尾藤イサオやりりィの歌声もかすかに聴こえてきます。りりィの声は色っぽい!)
PS
「NHKのど自慢」は太平洋戦争敗戦の翌年1月からラジオ放送として始まって以来、60年以上続いている超長寿番組です。全国津々浦々を巡ってきた大衆文化の担い手でもあります。全国を行脚する寅さんのような存在でもあるのかもしれません。
Wikipediaによると、大物歌手も若かりし日(或いは幼い日)にNHKのど自慢に出場していた人が沢山いるんですね。結構、鐘1つとか2つだった人もいるようです。
美空ひばり(9歳、鐘1つ)、島倉千代子(鐘2つ)、北島三郎(鐘2つ)、倍賞千恵子(?)、五木ひろし(鐘乱打)、森進一(?)、kiroroの玉木千春(鐘乱打、その会のチャンピオン)、ジェロ(鐘乱打)・・・
年に一度グランドチャンピオン大会が行われていますが、何年か前にゲスト歌手として出演していた「坂本冬美さん」の講評での言葉が印象的でした。
確か「歌の素晴らしさ、歌うことの喜びに気づかされました。ありがとう!」と言った趣旨のことを感動的に話されていたように記憶しています。
その言葉の裏には、自分はそれを忘れかけているという含意があるように聞こえました。
そんなことを感じさせてくれる、それぞれのドラマを背負った人々の渾身の歌声は、やはり心に届きます!
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