ALWAYS 三丁目の夕日 (2005) »ストーリー



USENより


戦後の昭和、東京の下町で、夕日を見つめ夢を抱いた人々を描く人情ドラマ

昭和33年の東京。短気だが情の厚い則文が営む鈴木オートに、集団就職で六子がやってきた。小さな町工場にがっかりした六子を、一家のやんちゃ坊主・一平は、「もうすぐテレビがくる」と慰める。鈴木オートの向かいで駄菓子屋をする茶川は、芥川賞の選考に残った経験がありながら、今は少年誌に冒険小説を投稿する日々。ある日茶川は、淡い思いを抱く飲み屋のおかみ、ヒロミに頼まれ、身寄りのない少年、淳之介を預かることに。

シリーズの総発行部数が1400万部を記録する西岸良平のコミック、「三丁目の夕日」を、『リターナー』の山崎貴監督が映像化した。舞台は、建設中の東京タワーが少しずつ空へ伸びていく昭和33年。夕日町三丁目で、慎ましくも笑顔の絶えない日々を送る人々の姿を、VFXを取り入れて感動的に表現した。ご近所が集まった初のテレビ観賞、思わず笑ってしまうお向かいさん同士のやり取りや、泥んこになって遊ぶ一平と淳之介の冒険など、現代では見られない風景のなかで、人々の心だけは、現代の日本人にも充分に訴えかける。出演は、鈴木オートの夫婦に堤真一と薬師丸ひろ子。小説家の茶川に吉岡秀隆。青森からやってきた赤いほっぺの六子を、掘北真希が愛らしく演じている。かつて日本に確かにあった時代を振り返り、優しい人たちの心に触れ、素直に感動できる作品。


 

 


ユーザーより


昭和33年の春。東京・上野駅の構内は集団就職で地方から上京してきた若者たちで賑わっていた。まだ中学の制服姿で職安の職員に引率されるその様子は、さながら現在の修学旅行のようである。その中には友達とはしゃぐ星野六子(むつこ)の姿もある。就職先は自動車会社だと聞いていた。具体的な仕事内容はまだ聞かされていない。“鈴木オート”の社長は自ら六子を迎えに来てくれた。

「東京タワーだ。完成すれば世界一になる」
まだ、建設中の東京タワーを見上げる六子に、社長の鈴木則文はわが事のように誇らしげに説明した。則文の運転するオート三輪に揺られて着いた先は夕日町という下町の商店街だった。立派なビルディングの大会社で秘書のような仕事を想像していた六子の期待はあっけなく裏切られた。“鈴木オート”は町の修理工場だったのだ。ツナギを渡されて、はじめて修理工として雇われたことを知るのだった。

「こら、汚い手であちこち触るなよ」
“鈴木オート”の向かいには駄菓子屋があった。“茶川商店”の店主、茶川竜之介は小説家志望の男だった。メジャーな雑誌の文学賞に応募しては落選してばかりいる。昼間、奥の部屋で原稿を書いていると、子供たちが買い物に来てその創作活動は中断されるのである。最近では子供向けの雑誌に冒険譚を書いて糊口をしのいでいる始末であった。

「隠れろ、ロクちゃん、アクマだ」
鈴木家の一人息子で小学生の一平が戸口に身を隠した。
「悪魔?」六子もつられてその後ろにかがんだ。スクーターに乗った白衣の男がゆっくりと店の前を通り過ぎる。母親のトモエが男に深々と頭を下げた。「悪魔なんて言って」トモエが一平を睨み付ける。「ほんとはね、宅間先生っていうの。お医者さん」と六子に説明した。

「困るわよ、私だって。この店始めて一週間よ」
居酒屋“やまふじ”を経営する石崎ヒロミの元にゴールデン座の支配人がやってきた。ヒロミの踊り子時代の同僚で仲のよかった吉行和子が子供(淳之介)を置いて逃げたのである。「アンタしかおらんのだわ」引き取り先が見つかるまで預かってくれと言うのである。

「常識で考えろ、常識で、お前と俺とは縁もゆかりも無いあかの他人なんだよ」
茶川は今、厄介なお荷物を抱えて困り果てていた。
最近、近所に出来た居酒屋の女将ヒロミに淳之介を押し付けられたのである。「あたしも時々お邪魔して様子を見に行きますし・・・ね、先生」ほろ酔い加減のところを色仕掛けで迫られてつい引き受けてしまったのだ。

「これ、おじさんが書いているんですか?」
茶川の書いている原稿を見て淳之介が興奮した様子で訊いた。なんと淳之介は茶川の書く“少年冒険団”のファンだったのだ。ずいぶん前の古い雑誌を後生大事に持っていたのであった。「あの子、笑うんだ」ヒロミが様子を見に来たとき、淳之介はすすんで茶川の肩たたきをしていたのだ。ヒロミは材料の詰まった買い物籠を見せて言った。「ライスカレー、作ってあげる」

「でましたー!力道山の宝刀、空手チョップ!」
とうとう鈴木家にテレビが届いた。一平などは前々から友達に吹聴していて、毎日待ち焦がれていたのだ。まだ、一般の家庭ではテレビが珍しかった時代であった。その夜、鈴木家には近所の住民がこぞって押しかけて祝いの言葉をかけた。目当ては力道山の出るプロレス中継である。部屋に詰めかけた人々を前に則文はテレビのスイッチを入れた。ブラウン管がブーンと音を立てる。固唾を呑む人々。しばらくして音声が流れ、一瞬遅れて白黒の映像が映し出された。力道山の活躍に一同は歓声をあげるのだった。だがほんの数分でテレビは突如、壊れてしまい・・・。

更新: 名画座の怪人 (2008-06-21 05:09)

 

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