誰がために
(2005)
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やりきれない怒りの中で、赦しの感情を探る人間の心を描いたドラマ
東京の下町で、父から受け継いだ写真館を営む民郎は、幼なじみのマリが連れてきた亜弥子とひと目で惹かれあう。カメラマンの仕事を諦めた民郎と、父の顔を知らずに育った亜弥子は、互いの心を埋めあうように愛しあい、やがて亜弥子は妊娠した。幸せに包まれる二人を、突然悲劇が襲う。亜弥子は、跡をつけてきた少年に殺されてしまった。怒りと悲しみの中、日常を取り戻そうとしていた民郎は、犯人の少年が軽い刑で出所したことを知る。
理不尽な暴力が蔓延する現代に、最愛のものを失った人が抱える痛みと苦しみ、そして希望を描く秀作。やり場のない怒りを抱えた人間は、この世の中でどう生きていけばいいのか…そんな葛藤が、リアルな日常の風景の中に綴られていく。監督の日向寺太郎は、巨匠・黒木和雄監督の下で助監督を務めてきた新鋭。デビュー作とは思えない、完成度の高いドラマを見せている。主人公の民郎には、日向寺監督が「彼しかいない」と起用した浅野忠信。エリカ、池脇千鶴、烏丸せつこ、香川照之ら、若手からベテランまで実力派が脇を固めるほか、本作が映画初出演となる小池徹平が、犯人の少年役で難しい演技に挑戦している。重いテーマに、矢野顕子の優しく軽やかなピアノが響くと、この物語のリアリティがジワリと伝わってくるだろう。
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