ハリヨの夏 (2006)
»ストーリー
USENより
高校3年生の少女がひと夏の間に経験したことは…。新進女性監督が瑞々しく描いた、少女の成長物語。
1990年の京都。高校3年生の瑞穂は、母と妹との3人暮し。ふだんは男っぽく勝ち気な態度の瑞穂だが、その一方では繊細で傷つきやすい心を持っている。母には反発してしまう瑞穂だが、ときどき鴨川べりで落ちあって話す別居中の父には心を許せた。夜のプールで泳ぎを教えてくれたり、何かと優しくしてくれる同級生の翔もいるが、彼の本心はわからない。しかし父に恋人ができ、精神的に不安定になった瑞穂を受けとめてくれたのは、両親でも翔でもなかった。やがて瑞穂は妊娠する。
京都生まれで、ニューヨークで映画作りを学んだ中村真夕の監督デビュー作。主人公の瑞穂は、心の中のSOSを外へ向かって素直にアピールすることができず、また彼女の周りにいる人々も理解しようとしない。団塊世代の両親は、物わかりがいい反面、自分たちの生活を優先し、子どもと厳しく対峙することを避ける。そんな親たちを受け入れる子どもたちは、大人になることを早く強いられているのかもしれない。ハリヨは澄んだ水に住む魚で、3本のトゲで身を守り、オスが卵を育てる珍しい魚。外界から自分を守り子育てする姿が、主人公の瑞穂に重ねあわされている。映画初主演となる於保佐代子、新人の高良健吾の2人の若手が魅力的。
配給より
高校最後の夏、少女は魚になった・・・。
1990年の夏、京都。学生運動くずれの両親を持つ18歳の少女瑞穂は、別居中の父から清流の魚・ハリヨをもらい、その魚を大切に育てる事を誓う。両親の離婚、ベトナム戦争脱走兵であったアメリカ人男性への恋、そして妊娠。揺れ動く思春期のひと夏に起こる様々な出来事は少女を大人へと変えていく・・・。
更新: SKIPシティ国際Dシネマ映画祭事務局 (2006-06-26 12:34)
ユーザーより
少女の中で、 いのちが ふくらんだ。
1990年の夏。父がハリヨをくれた。オスが卵を育てる珍しい魚だ。
私は京都に暮らす高校3年生の瑞穂。父とは別居中で、母と妹と暮らしている。大好きな父とはときどき鴨川べりで落ち合って、お喋り。学生時代に父が書いた詩集ノートも繰り返し読む。でも、父には若い恋人がいて、しかも妊娠中のよう。ひどい。
同級生の翔とは、学校帰りに鴨川で水をかけあったり、夜のプールで泳ぎを教わる仲だ。でも翔の気持ちがはっきりわからない。夜、プールサイドでキスを迫っても、潔癖だからか、何もしない。それからは2人の間に距離ができてしまう。
母親の働く居酒屋で、どこか翳りのあるアメリカ人チャーリーに会う。その優しさが怖くて最初は避けていたけど、彼は私のことを強がってはいるが、繊細で傷つきやすいと見抜く。彼はベトナム戦争で片脚を負傷し、離婚して娘がひとりいる。私と同じ孤独感を持つチャーリー。以前ほど私を大事にしてくれなくなった父や翔とは違って、彼にはすべてを委ねられる気がする。夏休みの旅行中、私たちは、結ばれる。
そして、妊娠。チャーリーも母も、堕ろすことしか頭にない。でも結局、母がチャーリーに啖呵を切って、私と母で赤ちゃんを育てることになる。今まで反発してばかりだったけど、この時初めて、母のありがたさが身に沁みる。
赤ちゃんの世話に戸惑っているうち、母がすべてやってくれる。自分の無力さをなんとかしたくてチャーリーと父に助けを求めたけれど、無駄だった。
そのころハリヨのオスは息絶え、水槽では稚魚だけが元気に泳いでいた。オスの死骸を戻すため、赤ちゃんを抱いて川に行く。少し進むと、急になった川の流れに脚をとられてしまう。懸命に水の中でもがく。そうしているうち、いつの間にか、私は生まれて初めて泳いでいた!水中に落としてしまった赤ちゃんも、無事に腕の中に取り戻す。
こうして、私はついに、ひとりで泳ぐすべを覚えた。もう私は自分の力で生きていける。これからは、他の誰かに頼りきらず、娘と一緒にしっかり生きていこう。
鴨川べりを散歩中、ひさしぶりに翔とばったり出くわす。大学生になった翔は、まぶしくもあり、幼くも見える。話が続かなくなった私たちは、背中を向けて別々の方向へ、進む。私は、赤ちゃんと一緒に、どこまでも胸を張って歩きつづける。
更新: Jun-Yuki (2006-10-12 16:36)

![DVD「ハリヨの夏 [DVD]」](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41xU9CClFnL._SL75_.jpg)




