ミス・ポター (2006) »ストーリー



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ピーター・ラビットの誕生に秘められた恋

ヴィクトリア朝の封建的な空気が残る1902年のロンドン。上流階級の家庭に育ったビアトリクスは、子供の頃からの夢であった絵本を出版しようとしていていた。主人公は、青い上着を着た愛らしいうさぎ、ピーター。新人編集者、ノーマンはビアトリクスの絵に魅了され、二人で制作した絵本はたちまちイギリス中に知られるようになった。いつしか愛し合うようになる二人だったが、ビアトリクスの両親は身分違いの結婚を許さなかった。

ピーター・ラビットの作者として知られるビアトリクス・ポターTMの人生を描く。上流階級の女性が職業を持てなかった時代に、絵本作家としての道を自ら切り開いた進歩的なポターをレニー・ゼルウィガーが楽しげに演じている。実際のポターは、晩年、湖水地方の保護活動に携わるまでは、孤独な人生であったと伝える伝記が多い。しかし、本作では暗い部分はなく、『ベイブ』のクリス・ヌーナンらしい、温かくて愛らしい作品に仕上がっている。緑の中でのびのびと創作するポターの姿は、今回、初めて製作を手がけたゼルウィガーと重なるかも。「ありがちな作品にしたくなかった」とヌーナン監督が語るように、アニメーションを導入するなど楽しさ一杯。


 

 


ユーザーより


---昔々あるところに、4匹の小さなウサギがいました。
名前は、フロプシーに、モプシーに、カトンテールに、ピーターといいました。
ある朝、お母さんが言いました。
「さあ、お前たち、野原か森の道で遊んでおいで。
でも、お百姓のマグレガーさんのとこの畑にだけは行っちゃいけませんよ。お前たちのお父さんはあそこで事故にあって、マグレガーさんの奥さんに肉のパイにされてしまったんです」---


1902年、ロンドン。フレデリック・ウォーン社は一冊の絵本を出版した。青いジャケットを着た可愛らしい仔ウサギの活躍するお話で定価は1シリング。後に全世界で累計1億5千万部もの発行数を誇ることになるピーターラビットシリーズの第一作目「The Tale of Peter Rabbit」であった。

作者のビアトリクス・ポターは1866年7月28日生まれ。
裕福な家庭の箱入り娘であった。この時代の良家の子女の通例で学校には行かず教育は家庭教師から受けた。6歳年下の弟バートラム以外でビアトリクスの遊び相手はペットの動物たちだけだった。動物を観察し写生しては空想の世界に遊んだ。描いた動物たちはビアトリクスの“お友達”だった。


---ベンジャミン・バニーはおばさんにはあまり会いたくありませんでした。
そこでもみの木の後ろに回っていくと、もう少しで従兄弟のピーターにつまづきそうになりました。ピーターはたいへん元気の無い様子で、大きい赤い木綿のハンカチに包まっていました。「ピーター」ベンジャミンはひそひそ声で言いました。「キミの服だれに取られちゃったの?」
「マグレガーさんの畑の案山子に」とピーターは答えて、マグレガーさんの畑であちこち追い回されたことや靴や上着を落としてきた話をしました。---


「もう7年もグリーティング・カードなどに売ってますのよ」
ピーターラビットのお話の原型は1893年9月4日にビアトリクスがノエルに送った絵手紙とされている。ノエルはかつてビアトリクスの家庭教師だったムーア夫人の5歳になる息子である。その7年後。グリーティング・カードのデザインや詩集の挿絵を手がけていた彼女は、この絵手紙に加筆して挿絵をつけて絵本に仕立て上げた。だが、持ち込んだ出版社の全てに断られ翌1901年「ピーターラビットのお話」を自費出版した。ただしフレデリック・ウォーン社だけは挿絵を色つきにするなら出版してもよいと言ってきたのである。

「いつ結婚しない覚悟を?」「20歳の誕生日前よ」
数ある縁談話を断り続けたビアトリクスはすでに36歳。生涯を独身で過ごすつもりだった。フレデリック・ウォーン社との契約を機にウォーン家との私的な付き合いもはじまった。そこで同じく独身のアメリア・ウォーン(ミリー)と知り合い意気投合した。
「女性は独身のほうが人生を楽しめるわ」

「“イエス”よ」
1905年。ビアトリクスは担当編集者ノーマン・ウォーンにプロポーズされた。
だが上流階級の家柄にこだわるビアトリクスの両親、特に母親は“商売人”との結婚を許さなかった。この頃すでにベストセラー作家となっていたビアトリクスは印税での自立を考え始める。両親は妥協して条件つきの婚約を認めた。ポター家は毎年夏の3ヶ月を湖水地方に別荘を借りて過ごすのが恒例だった。夏が終わってロンドンに戻ったときに気持ちが変わっていなければ正式な婚約を許すとしたのだ。ビアトリクスはこの提案を承諾した。

出発の日。ノーマンはビアトリクスを見送りに駅へやってきた。急に降り出した雨のため傘も差さずびしょ濡れでビアトリクスの前に現れたのだ。
「長い夏になりそう」「わずかひと夏ですよ。ご両親を満足させるためです。ぼくらは変わりません。たった3ヶ月くらいで」
だが、ビアトリクスが元気なノーマンの姿を見たのはこれが最後だった。

ミリーからの知らせを受けてビアトリクスは急ぎロンドンに戻った。
ノーマンはリンパ性白血病で急逝していた。まだ37歳だった。
悲しみにくれるビアトリクスは部屋にこもった。仕事に打ち込もうとするが、絵本作りのほうもスランプに陥ってしまうのだった。今の彼女からはカエルのジェレミー・フィシャーどんも、ピーターも、アヒルのジマイマ・パドルダックも、“お友達”はみな逃げていってしまうのである。

「私にはわからん。なぜお前が出てゆくのか」
ビアトリクスは両親の反対を押し切って自立の道を選んだ。湖水地方ソーリー村のヒルトップ農場を印税で購入したのである。この辺りはビアトリクスが子供の頃、夏の間滞在した事のある風光明媚なところだった。ビアトリクスは、ロンドンを離れこの地で自活しはじめた。
父親は引きとめようと和解を提案するがビアトリクスの決意は揺るがなかった。
「やり直すだなんて、これはお父様たちとは関係ないことなの・・・私に道を選ばせて」

更新: 名画座の怪人 (2008-11-03 15:45)

 

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