下妻物語 (2004)
»ストーリー
USENより
群れない、媚びない、へこたれない! これぞ正しい乙女の生き方!!
レースのパラソルにボンネット、田んぼのど真ん中というロケーションを無視して歩く女子ひとり。彼女の名前は竜ケ崎桃子(深田恭子)。生き甲斐はひらひらフリフリのロリータなお洋服を着ること。だから、茨城県は下妻から、片道3時間かけて聖地・代官山のショップに通うことも厭わない。でも、お買い物には先立つものが必要だ。そこで目をつけたのが、父親(宮迫博之)のかつての商売の遺物、自宅に眠るブランド品のバッタ物。これを売りさばこうと目論む桃子の前に表れたのは、ばりばりヤンキーのイチゴ(土屋アンナ)だった…。
ココロはいつもおフランス! とばかりに、お気楽かつ享楽的な18世紀のロココ時代を信奉する主人公・桃子は、自分にとっておもしろいと思える生き方を幼い頃から貫いてきた。人間は所詮ひとりと達観し、「貸したものは戻ってこない。だからほんとに大切なものは貸さない」を信条にしていたのが、熱い血潮をたぎらせ突っ走る「借りたものは返す主義」のイチゴに出会い、クールで辛辣な観察者というポジションからの転換を迫られる。
とことんマイペースな桃子役にどんぴしゃな深田恭子と、ハスキー・ボイスで眼光鋭い土屋アンナのコンビが楽しい。人気作家・嶽本野ばらの原作小説を得て、強烈な個性の役者陣を配し、あの手この手のギャグやワザで飽きさせない中島哲也監督の手腕に拍手。そして、その人の生き様が見えてしまう“見かけ”の大切さを見直そう。
ユーザーより
(さようなら、駄目オヤジ。
さようなら、お婆さま。)
桃子は祖母から借りたDJ1-Rを駆って牛久へ急いだ。
バイクに乗るのは初めてである。ロリータ仕様の純白のドレスにスクーターは無粋だが、それを気にしていられる状況ではない。
(さようなら、牛久の大仏様。
さようなら、“BABY, THE STARS SHINE BRIGHT”のお洋服。)
ノーヘルの頭にかぶっていたヘッドドレスが風圧で飛んだ。金色に染めた髪が陽光にきらめく。雑木林を抜けると牛久の大仏の横顔がみえた。
(そして・・・さようなら、イチゴ。)
筑波山を背後に道をひた走る。
だが、信号の無い交差点に差しかかったとき右から直進してきた軽トラに跳ねられ桃子は宙に放り出された。ドレスのポケットからパチンコ玉が零れ落ちる。
(今さら言っても遅いけど、
出来れば私はロココ時代のおフランスに生まれたかった・・・。)
「それがどんなに非常識な生き方だとしても、幸せならいいじゃン。気持ちよければオッケーじゃン。ロココの精神は私にそう教えてくれました」
竜ヶ崎桃子は、もともとは兵庫県・尼崎の出身だった。
高1の夏、大阪・梅田で“BABY,”の服を見かけて以来、ロリータ・ファッションに目覚めたのである。
桃子の親父は有名ブランド品のバッタ物を売りさばく商売をしていた。これが意外と上手くいっていたのだが、調子に乗って“USJ”のロゴを入れたのが運のつき。訴訟沙汰を怖れて身を隠さざるをえなくなった。そこで桃子は親父と共に祖母の暮らす下妻へ引っ越してきたのであった。
「労働は趣味じゃないから」
“VERSACHのお洋服、激安価格で売ります”
桃子は個人売買の仲介誌に広告を出した。これまで“BABY,”の服を買う金は作り話で親父を騙して捻出していたのだが、これからはそうも行かない。そこで桃子は親父が造ったバッタ物を自ら売りさばくことにしたのだ。
“ただし全てバッタ物です”と、ちゃんと但し書きはつけておいた。
数日後、「VERSACHのものをどうか譲ってください」と言う旨のはがきが届いた。
へたくそな字とひらがなの多い誤字だらけの文面から相手は小学生かと思われた。桃子はその女の子・白百合イチコちゃんに返事を出して自宅で商品を見てもらうことにした。
だが、約束の日時に現れたのは、族仕様の派手なスクーターに乗ったスケバンだった。
「そんなフリフリのアホみたいな格好してるからてっきり・・・。」
イチコは無遠慮な物言いで桃子のロリータ・ファッションを批判しかけたが、さすがに拙いと思ったか「いや、ま、人を見かけで判断するのはよくないよな」と弁解した。
しかし、桃子はまったく意に返さず笑顔で持論を口にした。
「そんなこと無いですよ、人は・・・見かけだもの」
更新: 名画座の怪人 (2008-08-05 18:53)









