バーバー吉野 (2003) »ストーリー

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“ボクもカッコいい髪形にしたい!” それが、少年たちの大人への第一歩だった

その町に理髪店は一軒しかなかった。男の子は、バーバー吉野のおばちゃんが切る“吉野ガリ”という髪型にすることが、町の掟であり、それを疑問に思う者は誰一人いなかった。おばちゃんは、口うるさいが仕事は丁寧で、町の人からの信頼も厚い。学校帰りの子供たちにおやつをくれたりする、いい人だ。しかし、東京からやってきた転校生の髪型に、少年たちの心は騒いだ。何かが変わっていく。思春期を迎える前の、初恋、性の目覚め、少しずつ大人になっていく少年たちを女性監督のやさしい目で描いたほのぼのストーリー。

皆同じおかっぱ頭にするのを、全く疑問に思わなかった子供たちが、東京から来た転校生の今風の髪型(しかも茶髪)を見たことから、自分たちも本当はこの髪型が嫌いだったことに気付く。「髪型は表現の自由だ」と、覚えたばかりの言葉を使ってみる。しかし、本作は、そういった表現の自由を叫んでいる作品ではない。小さな町の純朴な少年たちが、様々な経験を通して成長していく様子をただ温かく見つめているのだ。

子供時代を地方で過ごした大人には、似たような思い出がある人が多いのではないだろうか?吉野ガリ を強制する、バーバー吉野のおばちゃん(もたいまさこ)の、口は悪いが、なぜか子供に慕われる人柄も、この作品に奥行きを与えている。これが長編デビューとなる荻上直子監督の力量と、やさしい眼差しを感じる。


 

 


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