半落ち
(2003)
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愛する妻を殺した刑事とその事件を取り巻く人々との感動のドラマ
2004/01/09 (金) written by フォルティ大滝(映画ライター)
寺尾聰の“善人オーラ”が、良くも悪くも映画の出来を大いに左右した注目作。究極の夫婦の類型に皆が唸る!
“半落ち”とは、警察用語で容疑者が容疑を一部自供するも完全に自供してはいない状態のことだという。30万部を突破した横山秀夫の「半落ち」は、愛妻を手にかけた、元捜査一課の敏腕警部が主人公。彼は、犯行を自供したが、自主をして来るまでの“空白の2日間”については語らなかった。これが半落ち状態というワケだ。
元捜査一課警部・梶聡一郎が、3日前に妻の啓子を自宅で絞殺したと自主してくる。梶はアルツハイマーを発病した妻の看病のため刑事を辞め、警察学校で後進を育成するなど、広く敬愛されてきた人格者だった。しかし、梶は犯行を自供し、動機や証拠も申し分ないが、自首するまでの2日間について固く口を閉ざし続けてしまう。
この“空白の2日間”の謎に迫りつつ、梶に触れた人々が“豹変していく様”をたおやかに描き出す。次から次へと事件を巡る人物が登場し、梶の事件と梶本人の“何か”に魅せられるかのように、そして嫌味は全くなく、彼らは考え方・態度を変えてゆく。オールスターに近いキャストで贈る、豪華絢爛な群像劇とも言えるだろう。
主演の梶役、寺尾聰の“善人オーラ”がスクリーン全体を覆い、感動を呼び起こす。また、後半になるまで梶が手をかけてしまった奥さん、原田美枝子が登場しない仕掛けは秀逸。僕が評すまでもない素晴らしい女優さんだ。それに柴田恭兵、樹木希林、井川比佐志、吉岡秀隆等々の名優たちが、涙が出るほどの助演を見せてくれる。
人の一生とは何なのか。生きると言うことはどういうことなのか。結局、映画的な“オチ”は何だか個人的にはしっくりこなかったけれど、寺尾聰扮する梶の熱い想いに、この映画の持つテーマを再考させられる。それは非常に重いテーマではある。新年早々ガツンと来る映画だけど、静かで大きな感動に包まれることは請け合いだ。
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