豊作 さん

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50件中1-10件

  • 60点 まさに奇跡(0)

    2008年4月15日 to 奇跡のシンフォニー

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    (c)2007 Warner Bros.Ent. All Rights Reserved

     昔、幼くして生き別れた家族とかを捜し出してきて、舞台の上でご対面、その感動のシーンを流して観客、視聴者ともども感動の涙にむせぶ、という番組があった。この映画がもたらす感動もその番組が生み出す感動と似ている。が、映画は、そのTV番組ほど泥臭くなくて、とてもロマンチックな仕立てである。

     ところが、「それってまずありえない」という強引な展開や、偶然の一致にしてはあまりにできすぎている、という無理が積み重ねられていく。所詮ドラマというのはそういうものなんだが、SFやファンタジーという仕掛けがなくて、映画の世界が全く現実にたっているだけに、あまりに極端でついていけなくなる。そういう無理が重なればかさなるほど、話が劇的に、そして涙を誘う展開になる−−というか予想される結末に強引に持っていってるのだが、そうなればなるほど、僕は、作り手の期待に逆比例しつつ、引いてしまい、ラストでは、「んな、あほな」とおもわずもらしてしまった。

     役者達は子役もふくめて誰も達者であったが、その中でもロビン・ウィリアムスは抜きんでていた。はまり役というか。

     このドラマに起こる多くの出来事がまさに「奇跡」なんだが、それに酔いしれることができるかが、楽しめるかどうかの分かれ目かもしれない。僕はできなかった。

     

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  • 60点 頭脳優秀ハンサム学生と教授との確執は(1)

    2008年4月15日 to ラスベガスをぶっつぶせ

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     ケーブルテレビのチャンネルに事件・裁判ばかりを扱うコートTVというのがあり、ずっと以前に、この実話が紹介されていた。そこでは、ウイークデーは地味でまじめな学生生活、週末はうってかわってラスベガスで荒稼ぎの落差を強調していた。それと、このカウンティングと呼ばれる必勝法は計算に長けた頭のよいMITの学生達のチームワークがあってこそできた技だと。その番組でも映画でも、具体的にどんな方法が「必勝」につながるのか、それがどういう理屈なのかは、今一度よく理解できなかった。

     映画では、優秀な頭脳を持つハンサムな主人公が、教授の誘いに、ためらいながらも、グループにくわわり、チームの主導的な立場にたちながらもやがてそれにおぼれていく様子が、教授との確執を軸に描かれていく。ガールフレンドとなる女性以外、学生グループの他のメンバーのキャラはほとんど立っていない。

     少し冗長になってしまう嫌いはあるものの、終盤につっこむまでは、主人公の悩みや行動を丹念に描いていたし、ボストンとラスベガスの落差も強調していて、なかなかおもしろかった。それに共感できるのは僕が今おかれている極端に地味な生活ぶりと無縁ではない(そして僕の暮らす灰色のバッファローNYという街の地域振興がカジノである)。が、終盤は早い展開でバタバタと話は進み、すかっとして、あーおもしろかったねという幕引き。この部分が僕には残念であった。まあ、しょうがないけど。

     なにもドキュメンタリー風にしてくれとは言わない。とはいえ、テレビを見たとき、チームに加わった学生達は今どうしてるんだろう。荒稼ぎした金はどうしたのか。そして、人生の一時期そんな経験をしたことを中年になった今となってどう受け止めているのかなどが、気になった。むろん映画は、そういう視点というのは微塵もない、エンタテイメント作品であった。

     

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  • 80点 青年の選択と行動は魅力的だが(0)

    2008年4月1日 to イントゥ・ザ・ワイルド

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    (c) MMVII by RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC and PARAMOUNT VANTAGE, A Division of PARAMOUNT PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved.

     大学を優秀な成績で卒業した主人公が、卒業式を終えて家族と会食するといういかにも心温まる場面から始まるのだが、彼は持っていた2万ドル以上の金を団体に寄付、独りヒッチハイクの旅に出る。途中で働いたり、カヤックでメキシコに川下りをして不法入国したり、その間色々な人との出会いがある。そして目指すはアラスカ。

     と、ここまでにしておこうと思ったが、解説にあっさり悲劇的な結末のネタバラシがされていた。僕はその結末を知らずにみたのでいっそう印象深かったのだが、以下はそれがわかっているという前提で。

     IMDBに次のような感想がのっていた。
     「この青年の考えと行動には全く共感できない。私は黒人だが私の周りには両親がそろっていない家族はいくらでもいる。大学に行きたいが、お金がないばっかりに大学に行けない人も見てきた。アフリカには今日明日の食い扶持に苦労する飢えた子供達がたくさんいる。ところが、この青年はすべてをあたえられながら、そのすべてを自ら放棄している。とんでもない奴だ」

     それを言ってはおしまい、みたいな話だが、これは問題の本質である。人間に宿る憎しみ、嫉妬、猜疑、あらゆるネガティブな感情は、富や権力、地位や財産を求めて競争しひとを蹴落として生き延びようとする利己的なあり方から生じる。そういうものをいっさい捨てて、自然の中で自給自足の生活をすればいっさいの憂い苦しみからは自由になれる。それを求めて実行に移したのが映画中の主人公だ。

     それも人の生き方としてアリなのではないか、と思う。僕も憧れとしてそういう暮らしを夢想しつつも、人は社会的関係の中でしか生きていけないのではないか、という常識的な立場に引き戻されてしまう。

     彼が悲劇的な結末に終わったからといって、彼の思想や行動が否定されたわけではないと僕は思う。彼に欠けていたものは、現地の人やイヌイットの人たちと一年でも一緒に暮らせば身に付くようなサバイバルスキルではなかったか。それと、100%徹底して孤立無援、自給自足というのは、現代社会ではいくら何でも無理で、すこし妥協して90%ぐらいのところでとどめておけば、文筆活動をするなどして現代版「森の生活」を発信できたのではあるまいか。そう考えると残念でならない。

     いろいろ考えさせられる好作品であった。ちなみに、とても地味な映画ながらIMDBのユーザー投票では「ボーン・アルティメタム」「ダイ・ハード」とならんで歴代126位を獲得。それと邦題は「荒野に」のほうがよかったのでは。

    豊作@Buffalo,NY

     

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  • 60点 英雄の扱いには鼻白むおもいが(1)

    2008年3月11日 to チャーリー・ウィルソンズ・ウォー

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    (C)2007 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

     テキサスの下院議員チャーリ・ウィルソンは、アフガニスタンにソ連が侵攻したことを知る。現地に飛んで、難民があふれる国境の現状を見たり、パキスタンの首脳と面会したりするのだが、軍事・外交委員会のメンバーであるとはいえ、行政や軍に関わりのない一議員にすぎないのでできることは限られている。が、彼はCIAの地域担当部長とコンタクトをとり、現地のゲリラ(ムジャヒディン)に密かに武器(スティンガーと呼ばれる地対空ミサイル)を供与する計画を実行に移す。

     議員役のトム・ハンクスも好色なやり手オヤジの味をよく出していたが、それを上回っていたのは、フィリップ・シーモア・ホフマンだ。この人は、「カポーティ」ですばらしい演技を見せてくれて、それ以降僕は注目している。「ミッションいんぽ3」では持ち味がだせる役回りではなかったが、"The Savages""Before the Devil Knows You're Dead"では、悩み深き男を演じていて期待に違わず。この映画では、陰の立て役者といってもいい、ユーモラスでアクが強くて、ずけずけ物を言うCIA職員を演じていたのだが、トム・ハンクスと画面に出ていると、ホフマンが完全にハンクスを食ってしまっている。

     9.11以降米国はイスラム原理主義の強いタリバン政権がテロリストをかくまっているとして侵攻、自分に都合のいい政権うち立てた。彼の業績も今となっては昔の話だが、それを英雄的なものとして描く映画の立場に、僕はまりきれない。結局は大国のエゴにしかすぎない。映画の評価が政治的なものと別にあってもいいのかもしれないが、僕には鼻白む思いがする。

     

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  • 70点 元軍人の告発(0)

    2008年3月9日 to 告発のとき

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    (c)2006 Elah Finance V.O.F. Films/pulling focus pictures Inc.

     イラクから帰還して米国内のキャンプにいる息子が突然行方不明なったとの知らせが父親の元にはいる。その父親も元軍人で、真相究明のため現地に向かう。やがて、息子は焼死体で発見される。父親は、キャンプ内の誰もいなくなった息子の部屋に通されて、引き出しから息子が残した携帯電話をこっそり盗み取る。そこには、息子自身が撮影したイラク戦の凄惨な現状を映し出す動画がたくさん納められていた。この動画が映画の今ひとつの筋といってもいいし、事件を理解する鍵ともなる。

     話の筋も、一時間もののテレビドラマのように単純だし、言いたいことも明快。つまりは、イラク戦を遂行しているアメリカ軍の体質や行為を一連の事件を通して暴露し、告発するというトーン。軍や国家に対する「裏切り」とも見えるそうした行為は、かつて自分が忠誠を誓い、命をかけて使えた相手に裏切られたという思いをもつ元軍人の父親だからこそ切実感がある。その静かな怒りをトミー・リー・ジョーンズはよく出していたと思う。

     この映画をおもしろいと思ったのは、身の回りに起こったことと、日本の米軍兵士の行状を巡る新聞報道が結びついたからだ。
     
     僕は学生達が間借りをしている一軒家が並ぶ、いわば学生街で暮らしているのだが、若い学部生達が週末酔っぱらって騒ぐことがある。その騒ぎ方が、日頃の鬱憤をはらさんとばかりに、F**k,as**oleなどの汚い言葉を夜通し中わめきちらして、ただ騒ぐというものだ。つまり、何かめちゃくちゃしたい、抑圧のはけ口を酒に見いだすという飲み方。いかにも子供じみた酔っぱらい方に(米国ではアルコール規制は厳しく、18,9歳の頃から酒になじむことは日本に比べて少ないようだ)、もっと成熟した酒の楽しみ方ができないのかとおもう。

     新聞報道で基地周辺での米軍兵士の行状をきく。あんな状態が、酒以上の薬物の力をかりた万能感があったり、もっとシビアな抑圧や矛盾を昼間の仕事でかかえていたり、地位協定で一般人よりは有利な保護を受けていたりしたとしたら、あらぬ方向に暴発して当然だろうとおもう。精力みなぎる若い男性なら、向かう先は、暴力で性欲を満たそうとすることに尽きる。
     だから、沖縄で繰り返される事件も、もののハズミや偶発的なものでなくて、構造的に生じる必然があるのだとおもう。兵士が街に繰り出す以上、これからも繰り返されるだろう。
     
    豊作@Buffalo,NY
     

     

     

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  • 20点 おもしろい設定を生かし切れず(0)

    2008年3月6日 to ジャンパー

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    (C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX

     空間を超えてどこにでも出てこれる、という設定自体まことにおもしろい。が、それでやるのが銀行の金庫にではいりする程度のことなら、お金持ちになりました、でおしまいだろう。そういう設定を巧みに利用した劇的なストーりーが組まれていない、というのが最大の欠点だ。もちろん、世界名所旧跡巡りみたいなのはあるが、あとは、迫りくる追っ手との鬼ごっこだけが興趣である。別にアクションものなら、それはそれでいい。楽しめる。例えばマットデイモンのボーン・シリーズのように。ところがこの作品の鬼ごっこは、時間の流れに沿った話の展開というか発展に乏しいし、いかにも脈絡を欠いたところがある。目的や、終着点がなくただ連れまわされてるツアーのような感じ。しかも、そのツアーに感動はやってこない。

     画面がゆらゆらするから、僕も多少酔ってしまった。乗り物酔いしやすい人は、酔い止めが必要かもしれない。あ、それだと寝てしまうか。でも寝るのが、この映画への最大の良薬かもしれない。上映時間が短いことは、幸いだった。

    豊作@Buffalo NY

     

     

  • 70点 特異な弁護士役がおもしろいが(0)

    2008年3月5日 to フィクサー

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    (C) 2007 Clayton Productions, LLC

     「フィクサー」というと日本語では「陰で糸引く大物」みたいなイメージがあるが、映画はもっと地味である。原題は主人公の名前である「マイケル・クレイトン」。映画の冒頭でそうした役回りを示す逸話が出てくる。彼が夜遅く事務所からの電話を受けてクライアントの家にいってみると、今、車で事故を起こして現場から逃げてきた、何とかできないかというもの。何かミラクルを期待するクライアントに、すぐ現場に戻って処置をするように、時間が経てば経つほどあなたは深刻なトラブルに巻き込まれますよ、と諭す。
     彼は「自分のやっていることは"janitor"みたいなものだ」と繰り返し自嘲気味に語る。検事との丁々発止のやりとりをする華のある法廷弁護士ではなくて、人には気づかれない地味な汚れ仕事。とはいえ必ず必要な役回り。早く足抜けしたいんだが、それにしても小金がいる。だから次の仕事に手を染めざるを得ない、という矛盾。(janitor=ビル・アパート・学校などでちょっとした修繕をしたり、掃除をしたり、ゴミをすてたりする管理人。学校だと「用務員」と呼ばれるひとがこれにあたる)

     そういうおもしろいキャラクターなんだが、本筋の犯罪サスペンスはいかにも凡庸で通俗、ありがちな安易さで落ちがつく。そこは娯楽なのでしょうがない。

     ジョージ・クルーニーは「オーシャンズ」などでみたが、ちょっとおちゃらけた二枚目役だった。こちらは、人間や社会のどろどろした汚い部分を抱えながら苦悩するという、大まじめな役回りを好演していた。タクシーに乗り込んだ彼の顔をドアップで延々写し続けるラストのシーンは、印象的だった。弁護士業のなかでも特異な役回りに光を当てて、キャラクターを立てたことがおもしろかった。

    豊作@Buffalo, NY

     

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  • 70点 とてもすがすがしくさわやかだが(0)

    2008年3月5日 to JUNO/ジュノ

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    (C)2007 TWENTIETHCENTURY FOX

     主人公の女の子ジュノーはちょっとしたきっかけでできてしまった同級生の子供を身ごもってしまう。とはいえ堕ろさず産みたい。やがて、彼女は養子斡旋機関の紹介でとても良さそうな夫婦を見つける。そして、その夫婦と面会という運びになる。
     短くも簡単なお話なのだが、見た後とてもすがすがしい思いがする。それはジュノーが物事をすべて一人で決断している点。そして周りの家族が、その決断をやさしく見守り尊重し、サポートしているところからくると思う。

     ジュノーを演じる女の子−−それはまさに女の子といっていいような顔立ち振る舞いなのだが、そのうちに秘めたシンの強さ、気持ちの純粋さもうまく出しているし、同時に「女の子」ゆえの脆弱さ、繊細さものぞかせる。

     ところでアメリカで映画を見ていて気が付いたことなのだが、おなかに宿った命を絶たずにはぐくんで、とにかく産んだ、ということを讃える話がけっこう多い。そこにプロ・ライフ派とりわけカトリック教会の後光が射してくるようにみえるのはうがちすぎか。プロ・ライフ派を嫌悪するプロ・チョイス派の僕としては、「ちょっと待て」といいたくなる部分もある。そうした映画は、「人工妊娠中絶は人殺し」というネガティブで扇動的なメッセージではなくて、何かのハズミでできてしまったとしても、堕さず人の命を世に送り出すことはこんなにすばらしい、というポジティブな訴えかけだけに抗弁しづらい部分がある。「別に堕ろしたってよかったんじゃない」「何も無理して産むのは理解できない」と言い切ってしまえば、この映画にとってはミもフタもない話になってしまう。

     日本で同様に高校生が妊娠すれば、「世間体が・・・」「親として育てる責任がはたせるのか・・・」「まだ子供なんだから・・・」と親たちや取り巻きがよってたかって堕しにかかるし、妊娠そのものをなかったことにしたがるだろう。そういう本人の意志を置き去りにした現状があるんなら、やっぱりこの映画のストーリーや主人公の振る舞いはとてもすがすがしく魅力的なものに映る。

    豊作@Buffalo, NY
     

     

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  • 70点 ダニエル・デイ・ルイスの圧倒的な演技(0)

    2008年3月5日 to ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

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    (C) 2007 by PARAMOUNT VANTAGE, a Division of PARAMOUNT PICTURES and MIRAMAX FILM CORP. All Rights Reserved.

     油田採掘で財をなした実業家の主人公役のダニエル・デイ・ルイスの圧倒的な存在感。まるで一人芝居のような映画であった。もちろん、掘り当てた油田の地主の家族で、熱心なキリスト教徒の宣教師や、実業家の息子役もいい演技をしているが、まったっくかすむほどである。彼はこれでアカデミー賞の主演男優賞をとった。

     元々話が、主人公の若い頃から晩年に至るまでの一代記だからだが、石油採掘というリスキィな事業の発展と拡大に心血を注ぎ、その目的のためには手段を選ばないという生き方は、家族をも巻き込んで、彼の中で激しい葛藤と矛盾を生み出す。主人公はいかにもといった実業家タイプのキャラだ。観念や小理屈よりは実践を重んじ、柔らかな物腰で人当たりよく振る舞うが、鋭い眼光の向こうに見据えるのは、事業の成功、お金儲けである。堅固不抜の意志と行動力。

     興味深いのは、掘り当てた油田から原油を港まで運び出すために、従来の鉄道による輸送に代えて、直接送り出すために自らパイプラインを埋設しようとする考えを実行しようとしたときに採った彼の行動だ。これは宣教師との根深い因縁をもたらす。

     こういう人間の生き方、価値観、人生観がはらむ矛盾を素材として扱い、生身の生きた姿の中に映し出していく映画は僕個人の中ではポイントが高い。そして、ルイスの激烈な演技は見るものを圧倒する。とくにラストのシーン。が、他の脇役達のキャラクターをもう少し生かした脚本・演出ができなかったか。これは、同じ物事の裏表かもしれないが。それと、158分と長めなのは、台詞のない冗長な若い頃のシーンがあるためだ。もう少し編集して短くできたのではないか。

    豊作@Buffalo,NY

     

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  • 70点 正統派「重たい」映画(4)

    2008年3月5日 to つぐない

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    (c)2007 Universal Studios. All Rights Reserved.

     「つぐない」といえば「加害者が行う被害者への埋め合わせ」という意味合いが強い。が、僕には、この原題"Atonement"は「贖罪(しょくざい)」が適切ではないかと思う。自分が若い時にやってしまった過ち、そしてそのことが引き起こした結果は、自分に良心に対して、あるいはもっといえば神に対して償いたいのである、ということが映画の話だからである。

     これは正統派「重たい」映画である。そういう映画が好きな人にはお勧めできる。とはいえ、映像は美しく、演出はとてもロマンチックなラブストーリの仕立て、つまりは恋する相手に会えず愛おしいという二人の心情をひたすら画面に映しだす。そして、ラストに話が明らかになる、というサスペンスの要素がある。キーラ・ナイトレイもそれなりによかったが、それよりよかったのは、語り手ともなっているブリトニィ・タリスが晩年となっておばあさんとして出たときのバネッサ・レドグレイブという人の演技であった。

    豊作@Buffalo, NY

     

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