元映画野郎 さん
男性
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2006年11月14日 to 手紙
映画が斜陽になり、テレビへとその流れが移ったとき、
村川透・工藤栄一・恩地日出男・神代辰巳等がTVで映画を撮って
松田優作・水谷豊・ショーケンを世に送り出した。
でもそれ以降
TVドラマは脚本家の天下だと思っていた。
倉本聡・山田太一・市川森一・鎌田敏夫・小山内美江子・北川悦吏子・野沢尚・岡田恵和・野島伸二etc.
どんなに作品的に優れ、高い視聴率を獲得しても、注目されるのは、脚本家・出演者・プロデューサー。
TVでは演出といわれ、監督と呼ばれない彼ら。生野慈朗・土井裕康・新城毅彦。
でも、その高い演出力、今更ながらしかと受け止めました。沢尻エリカ・山田孝之が元々非凡な才能の
持ち主であり、かつ杉浦直樹がどんなに素晴らしい俳優であることを前提としても、あの表情・あのたたずまい
を引き出せませんよ。プロフェッショナルな仕事です。
岩井俊二のように、TV深夜の冒険的演出・映像で頭角を現し、早くから映画界に身を置く監督とは違う安定感を見せてくれます。
2006年8月16日 to ユナイテッド93
不謹慎を承知の上で、第一印象として非常に面白かった。
この面白さは、かの衝撃的な事実に基づいているというよりも、
綿密な取材に基づく、フィクションの構成が非常に優れていることに
起因しているように感じる。
特に空港・空軍管制の場面の時間構成・画面展開は出色の出来である。
素人の芝居で、この緊張感を持続させるのは、監督が並はずれた
映画的技量を持ち合わせているに違いない。
ただ、十分な取材の及ばない航空機内となると、逆にガクッとクオリティが落ちているのが残念。
それと同時にいささか鼻につくこともあるし。
やっぱり、人それぞれ、得手不得手があるのですね。
彼の資質という観点から考えると、製作時期が少し早すぎたのかもしれません。
2005年12月2日 to 旅の重さ
高橋洋子との出会いは、NHKの朝ドラ『北の家族』。ストーリーはすっかり記憶から欠落しているが、寒風の中、真っ赤に染めるその頬と、マフラーにスキー帽、その人懐っこい表情は、脳裏に焼きついている。
なんか、女優への憧れ・恋心の原体験だったような気がする。
そんな幼少の記憶をひきずったまま、彼女の出演作を追いかけたのは、もう私が大学生。
本作・『宵待草』・『アフリカの光』・『サンダカン八番娼館』。
どの作品も文字どおり体当たりの演技で、記憶とは違う彼女の姿に、ちょっと気恥ずかしく、複雑な心境になった。
でも、どこか垢抜けなく、純朴な風情は相変わらずで、そこがとっても愛おしい感じだった。
そういえば、『太陽にほえろ』のシンコこと、関根恵子の大映時代の増村作品を観たときも同様に感じたっけ。
作品の感想は、夏の四国の棚田の緑の稲が本当に美しかったことにつきる。
『天国の日々』の黄金の小麦の穂に匹敵する(褒めすぎかな)。
そして、こんなショットを切り取れる斉藤耕一に嫉妬した。
この嫉妬が冬の『約束』で決定的なものとなるのですが。
2005年10月15日 to 空中庭園
一報を聞いた時にはこの馬鹿野郎と思ったが。
なんだ、ちゃんと分っているんだ。
猿でなく、人間であるということ。
その人間が家族という空間を共有するということ。
人の親であるということ。
その親の子であるということ。
その思いを、写真で僕に提示してくれるんだ。
僕はその思いに、心を衝き動かされた。
止め処なく流れる涙とともに。
この映画の観る前、実家の母から電話がかかってきたところだったし。
過剰に虚飾にみちた映像を心とともに整理し、今度僕にもう一度その思いを伝えてくれるとき、僕は心から監督を応援します。
どうしても伝えたい。大楠道代さん、本当にありがとう。
2005年9月25日 to 8月のクリスマス
まずは、長崎俊一監督。
難しい企画ながら、その確かな演出力・キャスティング・ロケハン
お見事というしかありません。これだけオリジナルに忠実でありながら、
立派に日本発の映画になっている。老練な技の冴えですね。
『八クリ』ファンとしては、再現される名シーンの数々を堪能させていただきました。
後は、長崎俊一とホ・ジノの人間の捉え方がどちらの方が好みかの問題ですね。
あくまでも接近戦で、寄り添い・見つめる優しさの長崎か、一歩引いたところで、ある意味突き放した
形でとらえるホ・ジノか。それは、バストショットとロングショットの多用という形で表面上現れたり
するのですが。ラブストーリー色濃く出すには、長崎の選択が優しさだと思うし、死生観を表すのなら、
べたべたされるより、一定の距離を置く、ホ・ジノの選択が優しさだと思ったりする。
個人的には、ホ・ジノのスタンスの方が好きですが。
本来、長崎俊一は、ロングショットが印象的な監督であったような気がするのですが、
ここは、オリジナルとの違いを出すという意味でスタイルを変えてきたのでしょうか。
2005年8月22日 to はつ恋
年上の人・父・そして自分。この3人が出会い、絡みあう関係は、
自らの未熟さを自覚し、血に嫉妬し、甘美な香りを希求する年頃には、
ある種の衝撃を与える。
ツルゲーネフの『はつ恋』は、忘れられない一冊だ。
そして、この映画『はつ恋』も。
井上純一の構える16ミリカメラの向こうに写るであろう映像が
心を捕らえて離さない
砂浜に残された排泄物の痕跡、
仁科明子の窓辺での表情、鞭で叩かれ出血した手首を舐める舌、
二谷英明の後ろ姿、胎児の写真、泣き叫ぶ根岸明美、
そして、馬の暴れる光景。
なぜか、当時これに向き合うことが一歩大人の階段を登ることだと
思ったような記憶がある。
長年再見したいと思っていた映画だか、幸運にも、CATVで鑑賞できた。
印象は当時とあまり変わらないような気がする。
フィルムの仁科明子を見て、一生の内最高に美しい瞬間を切り取る映画の
非情さを感じはするが。
2005年8月14日 to ハービー/機械じかけのキューピッド
少し遅くなってしまったが、本日やっと鑑賞。
楽しかったです。
ハービー相変わらずの活躍。少しパワーアップしすぎているのかな。
ちょっと余裕をかましすぎです。
それと、リンジーローハンのボリューム感はすごいですね。
かわいいそばかす顔の典型的なヤンキー娘という感じですが、
レーシングスーツを身にまとっていない時には、なんか気になってしまって。
オリジナルのハービーとそれを取り巻く人々の軽妙なかけあいによる
笑いと涙と希望の一杯詰まったアメリカン・コメディとしてのハービーがダイスキなんで、
ある意味、スポーツエンターテイメントショーに徹している本作品は印象が薄いかな。
まあ、元気なハービーに再会できたことだし、素直に喜びましょう。
2005年7月24日 to 冬の華
倉本聰の東映任侠映画への愛がたっぷり詰まった作品。
時代設定は、変えています。
そこが、彼の巧いところなんですが。
そして、網走番外地シリーズの降旗康男が彼の愛に応えています。
期待通りのキャスティングかつ演出で。
おなじみの高倉健・池部良・山本麟一
池上季実子は、藤純子といったところでしょうか。
クロードチアリの奏でる美しい旋律 =『唐獅子ぼーぉたーぁん』は
すごいセンスですね。
手持ちカメラで、画面が揺れているのは、実録物へのリスペクトで
ちょっとご愛嬌ということで。
全体に青みがかったフジフィルムの色調が、健さんの心を写します。
健さんファンにはたまらない一品です。
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2005年7月16日 to ロックよ、静かに流れよ
『男闘呼組』と同年代なら、当初から馬鹿にしていたでしょう。
彼らより3〜4歳年上であったのが幸運だった。
映画との出会いの年齢は大事ですよね。
スクリーンに映っているのは、数年前の私だった。
田舎のバンド少年。この時始めて、自分の過去を振り返って
主人公に感情移入していることを覚えている。
好きなアーティストに入れ込み、ただ彼のように、音楽を奏でたいと
思った日々。同じアーティストが好きな仲間を見つけると、
何時間でも、語り。そして、セッション。
血豆を何度も作り、どんなに練習しても、やっぱりレコードのようには、
ならず。リズムが走っても、もたっても喧嘩。
ライブハウスなんかは、あろうはずがなく、
街のスーパーの最上階の小さなホールで、友達を無理やり集めてコンサートを開く。
そんな楽しくも、気恥ずかしい日々を思い出させてくれる映画。
そして、そんな日々は、もう二度とやってこないことも同時に感じさせてくれた映画。
この映画バンド仲間4人が揃った時のショットが秀逸で、
川辺で、LPレコードを飛ばすシーン
その天に舞うレコードが交差する様、
夕暮れの東京のビルの屋上での4人のロング、
満天の星空の下で、車の上に寝転ぶ4人の俯瞰、
が映画的輝きを持っていることも忘れられない。
長崎俊一監督、今度は『8月のクリスマス』のリメイクですか。楽しみにしています。
2005年7月9日 to 博奕打ち総長賭博
任侠映画の最高傑作の噂のあるこの作品、
念願叶って劇場での鑑賞です。
義理と人情あちらを立てればこちらが立たず。
八方塞がりのこの映画。出口が見えず迷走する。
いやー厳しい。この厳しさこそが、笠原和夫の脚本そして金子信雄
とともに、後の東映実録物の出発点として巷では評価が高いのでしょう。
しかし、現実はどうあれ、
ある一つの立場に軸足を置きそれを貫徹するその行動様式こそが、
任侠映画の美学と信じる私は、主演の鶴田浩二・若山富三郎ではなく、
桜町弘子こそが美しいと感じる。
大好きな藤純子もこの映画では、彼女の前に霞んでしまう。
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