dante さん
男性
カウンタ : 6023
※ユーザー登録すると、レビューを評価できるようになります。
65件中1-10件
2008年9月1日 to ダークナイト

TM & (C) DC Comics (C) 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
クリストファー・ノーランが描く新生バットマンの第2弾作品。バットマンの誕生を描いた『バットマン ビギンズ』の正統な続編である。タイトルから『バットマン』をはずした時は驚いたが、ノーラン監督は『ダークナイトという言葉がそれだけでバットマンの事を意味するのではずした』と言った時はなるほどと感心した。
前作のラストで示された通り今回は原作でもお馴染みであるバットマンの宿敵“ジョーカー”とバットマンが激しい攻防を繰り広げる。ヒロインのレイチェル役はケイティ・ホームズからマギー・ギレンホールに交代したが、主役のクリスチャン・べイル、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマン、キリアン・マーフィー(前作のスケアクロウも少し登場!)らはそのまま続投、そこへ(故)ヒース・レジャーとアーロン・エッカーが参加しアメコミ映画のみならずその他の映画と比べてもかなり豪華なキャスト陣が集まっている。
前作の主人公は全編を通して観ても誰もがバットマンだと言えるが、今作の主人公は間違いなくジョーカーだろう。彼の狂気じみた圧倒的な存在感は観る者を圧倒し、画面から目を逸らすことを許さない。そして彼の本当の恐怖は大袈裟なルックスではなくその行動。確固たる主義や理念を持つわけでもなく、あくまで“退屈”だから“混沌”をもたらすという彼の行動はまさに絶対悪。
今年は既に『ノーカントリー』に登場した殺し屋シガーにかなりの衝撃を受けた。彼が“静”ならジョーカーは“動”なのだが、衝撃度はやはりジョーカーの方が上回った。
忘れてはならないのがもう一人の怪人“トゥー・フェイス”の存在。このキャラクターも個人的には大好きなので、2人の(顔が)特徴的な悪役が出ると聞いた時は嬉しかったし、実際に“ジョーカー”と“トゥー・フェイス”が同じ画面に出た時はかなり興奮した。
過去のシリーズでトミー・リー・ジョーンズが演じた時は原作通りマフィアのボス・マローニに硫酸をかけられた事が“トゥーフェイス”誕生の原因だった。今作もマローニが登場しているし、もしかしたら今回はジョーカーに?とも安易な予想をしたがなるほど、この点でも見事にやられた。前回よりもシリアスで顔がドロドロでコインの使い方も正しい(シガーと似ている)この悪役の存在も今作の魅力となっている。
悪役の評価が続いたがもちろんバットマンも押されてばかりではない。心強い味方ゴードンは前作よりもさらに活躍するし、バットマンも新しいアーマーや乗り物“バッドポッド”を駆使し静かに、しかし猛然と立ち向かう。マントを広げ闇夜に羽ばたくその姿は文句なしに格好いい!
ここまで長々と書いておいて何だが、この作品の凄さはとにかく直接観なければ分からない。面白い映画を探しているのならば絶対にこの作品をお薦めする。アメコミ映画の枠を凌駕した重厚でダークな世界観は芸術中の芸術。前述のようにダークナイト=バットマンの図式は分かるが“なぜ”そうなったのかは最後に語られる。それを理解した時、目の前には真のダークヒーローが確かに存在していた。
この夏、、いや今年最高の映画。
共感:4人
2008年9月1日 to デイ・オブ・ザ・デッド
ゾンビ映画の祖ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビ3部作最終章『死霊のえじき』のリメイク作品。監督は殺人鬼ジェイソン≠ェ初めて姿を現した『13日の金曜日PART2』の監督スティーブ・マイナー。『テキサス・レンジャーズ』以来久々の新作だったのでそれなりに期待していた。
主演は『アメリカン・ビューティー』のミーナ・スヴァーリ。アクションのイメージは薄いがきちんと役に順応していた。
共演はマライア・キャリーの旦那ニック・キャノンやヴィング・レイムス。ヴィングは同じリメイクゾンビ映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』にも出演し、頼りがいある警官役で主演に匹敵する存在感を発揮していた。しかし、今回の彼はどうしたことか。配役こそ主人公の上司で突然出てきた数匹のゾンビを殴り飛ばしつつも、群れの勢いには敵わなかったか大した活躍もしないままゾンビの仲間入りとなる。その後は文字通り主人公の足を引っ張っていた。
最近の流行りか、今作のゾンビも元気に走り回ったり窓を突き破ったりする。また、リメイク同様“善玉ゾンビ”も登場し観る者を癒して?くれる。バレバレのCGで壁をよじ登ったり、当たらないとはいえ銃を乱射までするゾンビにはさすがに引いたが、マイナー監督はロメロを尊敬しているしこういうゾンビ像もたまにはありだと思う。
数あるゾンビ映画の中でも抜きんでんばかりのB級らしさ。アメリカで公開されなかったのが理解できてしまうほど出来栄えはお世辞にもほめられたものではないが、やはりゾンビ映画愛好者は避けて通れないだろう。可愛さと野暮ったさが入り混じったミーナ・スヴァーリ目当てで観ても楽しめる作品だった。
2008年7月17日 to ●REC

(C)2007 CASTELAO PRODUCUTIONS,S.A.
スペイン生まれの大ヒットホラー作品。
99年に『ブレアウィッチ・プロジェクト』が大ヒットをし、しばらくブランクはあったものの今年になって『クローバーフィールド』や『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』などで再び注目され始めた“手ぶれ映像”映画。厳密にはP.O.V.=ポイント・オブ・ビュー(主観撮影)というこの手法。臨場感は抜群だが、こういった映像に慣れていない人は非常に“酔う”ので観る人を選ぶ作品とも言える(今作は短いので見やすいと思うが)。ちなみに私は海外のFPSゲームが大好きな人間なのでこういう映像は結構好き。
監督は『スパニッシュホラープロジェクト』の一人であり、『ネイムレス』『ダークネス』『機械仕掛けの小児病棟』と徐々にキャリアをアップさせていったジャウマ・バラゲロ。彼の作品は確かに雰囲気は怖いが、単純に“ホラー”として捉えた場合どこか物足りない(スパニッシュホラーの特性?)感じがしていた。そんな彼が同じく『スパホラ』の一人であるパコ・プラサと組み、『ブレア〜』方式を採用したことが功を奏したのか今作は素直で分かりやすいホラーとなった。
残念ながらストーリー自体はありがちな閉鎖型感染ホラー。感染後の発症がいつくるか分からないという設定が逆に『28日後』を意識しているように感じた。
「何故こんな事になったのか」という事件の真相は徐々に明かされていくが答えを出してくれるのは予想外だった。所有者はいるが誰も使っていない最上階の部屋の中に逃げ込むが実はそこが全ての・・・という流れはべタながらもやはり素敵。
7歳の女の子が突然襲ってくるくだりも好き。子供ゾンビ(感染者)というネタは忌避されがちなのでリメイク版『ドーン・オブ・ザ・デッド』のような嬉しい衝撃だった。執拗に襲ってくる老婆も怖さと滑稽さが綯い交ぜになっていて良かった。この映画のヒロインはリポーターのアンへラだがもう一人のヒロインは間違いなく彼女。
ハリウッド版リメイクもスペイン版の続編も決定しているこのシリーズ。いくら斬新(最近)な映像と言えどあまりしつこいと飽きも早そうだが果たして・・・・
2008年7月14日 to 西の魔女が死んだ
【レビュー】
長年に渡りロングセラーとなっている梨木香歩の原作小説の映画化。監督は一つのジャンルに囚われない映画を作る長崎俊一。イギリスの女優シャーリー・マクレーンの娘のサチ・パーカーがイギリス人のおばあちゃん役を見事に演じている。
そのサチ・パーカーを始め、キャスティングはイメージにマッチしていたので特に違和感を覚える事なくストーリーに入り込めた。まい役の高橋真悠は決して演技が上手いとは思えなかったが、逆に変に演技慣れしていたら純朴な孫の雰囲気を出せなかったのかもしれないのでこれはこれでアリ。これからの活躍にも期待。母親役のりょうも小説を読んだ時には思い浮かばなかったが、いざまいの母親役だと認識したら彼女以外の選択肢はなかったと思えるくらいにハマっていた。
音楽も明るく、気持ち的にも何だか楽しくなってしまうような印象で作品にマッチしていた。自分もまいと一緒に都会の喧噪から隔離されたのどかな田舎の自然の中で日光浴をしているような気持ちになれる。何となくジブリ作品に通ずるものがあるかもしれない。
映画と小説、どちらが良いかは難しい。どちらも素晴らしいし比べる事自体がナンセンスだが、個人的には映画の方が涙腺に触れるものがあった。主題歌を担当した手嶌葵の透き通るような綺麗な歌声も映画に大いに貢献していると思う。
小説を読んでからでも映画でも映画を観てからでも小説でも良いと思うが、是非どちらも味わう事をオススメする。映画がきちんと小説を余すところなく映像化しているのがよく分かるはず。
こういう系統の作品はいつも観てると飽きるかもしれないが自分のおばあちゃんを思い浮かべつつ、たまにはこういう愛で満ちあふれた映画もいいものだなと素直に思った。
2008年でトップクラスのハートウォーミング作品。
共感:1人
2008年5月21日 to ヒルズ・ハブ・アイズ
序盤から激しい勢いで現れる殺人鬼に圧倒されつつも目は釘付けとなる。中盤で立ち往生したトレーラーハウスがヤツらの襲撃を受ける場面なんかは展開的にも非常に新鮮だった。
暴力と銃を嫌う優男なダグが愛する妻・家族を殺され、赤ん坊を奪われた事により一人の戦士として目覚め殺人一家と血みどろの戦いを繰り広げる姿は壮絶の一言。
それとは対照的に銃や力に傾倒しつつあったダグの義弟のボビーが家族を失った事で死の恐怖を知り、頭を使って姉を守ろうとする姿勢が良かった。
また、殺人一家に腹を裂かれた相棒ビューティーの仇と言わんばかりに立ち向かう家族の愛犬ビーストの勇姿も見逃せない。
核実験が絡むためか残酷描写のためか、はたまた両方なのか日本では劇場公開が危ぶまれた今作。
何とか単館短期公開し、無事にDVDまで発売される運びとなって個人的には一安心だった。
欲を言えば『1』『2』セットで発売してほしかったけれど。
特典映像は『メイキング』『FOX特番』『ザ・ファイナリストのミュージックビデオ』
特にメイキング映像は見応えがある。
何ということのないシーンも撮るのにかなり手間をかけていてより評価が高まった。
放射能の影響により奇形化した殺人一家のメイクもなかなか。特殊技術とCGを両立させた事もこの作品の成功を支えているのだろう。
ちなみにアジャ監督はダグ役のアーロン・スタンフォードと似ていた。そんな監督の今作に対する愛情もメイキングからよく伝わってきた。
2008年5月21日 to ひぐらしのなく頃に
同名の同人ゲームが原作の映画化作品。
今なお根強い人気を誇るゲーム/アニメ/漫画/小説という事もあり実写化を聞いた時はかなり不安を覚えた。
ストーリーは原作でも一番最初の話となる「鬼隠し編」がベースとなっている。
長閑な雰囲気の田舎を映像で観ると「ホントに実写化されたんだなぁ」という気持ちになる。
キャストは新進気鋭の若手という事もあってか知名度のある人は少ない。
二次元の作品のキャラクターを実写で演じる事自体大変なので、あまり非難すると可哀想だが主人公はひどかった。キャラクターのイメージもそうだが、なにより演技力が。
女性4人組も原作と比べてしまうとどうしても違和感を覚える。それでも頑張って男勝りな口調で魅音役を演じる飛鳥凛や原作程大きくない鉈を振り回して頑張る松山愛理は健気。
特に飛鳥凛は好きなホラー映画に『ゴーストシップ』を挙げていたのでそれだけで贔屓してしまう。
元々が特殊な役柄である梨花役のあいかが一番イメージとの差が大変だったかもしれない。それでも小柄さも相まって保護欲を誘因する演技をしていた。しかしこれで飛鳥凛と同い年とは。
セリフこそ少なかったが沙都子役の小野恵令奈は個人的にかなりハマっていたと思う。AKB48のメンバーらしいが少しはマシな子がいるのか。
しかしレナ以外は原作のような口調では喋らなかった。実際あんな喋り方をしたら“痛い”のだが、ほとんどは原作を知ってるわけだから(原作を知らない人は見ようとしないレベルの作品かもしれない)、そこらへんは思いきって再現してくれても良かったのに。
とはいえ、レナの「〜かな?かな?」も終盤数えるほどしか使われてなかったが。
脇役は原作のイメージよりも演技力を優先したキャスティングぽかった。しかし、個人的には鷹野役はりょうが良かったなと思った。
三輪ひとみが久しぶりにスクリーンで観れたのは嬉しかった。
原作での名シーンもきちんと・・・いや“一応”再現されている。もちろんレナの『嘘だッ!!』のシーンも。
ガッカリだったが。
自分は熱心な原作ファンではないが、ファンであればあるほどこの映画のマイナス評価は多いかもしれない。しかし、原作は原作、映画は映画と割り切って観るのが礼儀と言えば礼儀。
だが、その作法に従いこれを単体の作品として捉えた場合、原作ファンにも映画ファンにもオススメできない中途半端な駄作となってしまっていた。
噂通り、エンドロールの後で続編製作決定の予告が流れるが、次回で全ての謎が明らかになるらしい。ダラダラとシリーズ化されても困るが、かといって二部作で処理できるほど薄っぺらい内容でない雛見沢のストーリー。
果たしてどうするのか。
大石圭の『1303号室』の映画化もそうだったが、及川監督の作品にはやはり過剰な期待はできない。
共感:2人
2008年4月13日 to クライモリ デッド・エンド
前作『クライモリ』の続編作品。
前作がスティーブンキングに“年間ベストホラー”に選んでもらえたのに対し、今作は劇場公開をスルーされ即DVD化。だが、決して出来が悪いわけではない。
少し調子に乗りすぎただけ。
冒頭からセクシー系の女優キンバリー(キンバリー・コールドウェルが実名で出演)が縦で真っ二つにされ、左右それぞれを2人の殺人鬼にお持ち帰りされるシュールなシーンから始まり、グロい映像がてんこ盛り。スプラッター好きには堪らない仕上がりとなっている。
というか、あの前作の終わり方でまさか続編を作るとは・・と思っていたがそこはホラー映画。いくらでも出来る。
劇中でも、とある老人(実は人食い一族)が『お前が観たのは全員ではない』と語っていたがまだまだたくさんいる様子。
何だかこの流れは『ヒルズハブアイズ』→『ヒルズハブアイズ2』のような感じ。前述の、冒頭でのお持ち帰りされるキンバリーの図も『ヒルズハブアイズ2』の予告編を彷彿とさせてるし。
そもそもこのシリーズに登場する殺人鬼のモチーフはアメリカの都市伝説“マウンテンマン”だったはずだが、この続編では完璧にただの“人食い一族”と化している(人を食うやつらを「ただの」というのは変だが)。
登場人物の関係性のなさからも、前作と同じシリーズにありつつも全く別の場所での話と考えたほうがすんなりする。
キャストは・・前作のレビューを書いた時点での予想通り、一人としてメジャーな俳優はいない。が、、これから売れるんじゃないか?という感じの若者はいた。
それもホラー映画のお約束だが。
主役のニーナを演じたエリカ・ローセンなんかは無駄に目力があるし、頼りになる姉御肌を感じさせつつも結構仲間の足を引っ張るというかなり困る茶目っ気も見せていた。それでも最後に仲間を助けるために敵の所へ戻るシーンはお約束ながらも良かった。
若者ではないがもう一人。劇中のサバイバルゲームのイメージキャラクターを務める(という設定の)ヘンリー・ロレンズ演じる退役軍人のデールが非常にいいキャラクターを発揮していた。
メンバーの中で一番頼れそうで、保護者的な位置にいた彼。一番頼れそうな人のお約束的な展開よろしく早々に殺人鬼に捕まり逆さ釣りにされ腹部を何度か軽く刺されるも見事反撃。
ショットガンをぶちかまし、ダイナマイトつきの弓矢を携え、顔に泥を塗りつつ人食い一族を倒すために戦闘態勢を取るその姿はまさにランボー。
作品の中でもかなり浮いていて笑えた。
彼は『ヒルズハブアイズ2』にも登場して本家?“人食い一族”とやり合って欲しかったと思った。
是非『3』ではこの俳優さんを。
前作の雰囲気は全く継承せず、やりたいようにやってしまったある意味ホラー映画の王道的続編ともいえる今作。確かに前作よりは評価は下がるが、劇場未公開は勿体ない。去年の冬に公開された、未知の生命体が耳から脳に侵入する映画よりもこっちの方がよっぽど素直で分かりやい。
スプラッター好きなら観て損はなし。
余談だが、劇中でサバイバル番組のディレクターが『バトルロワイヤル』のTシャツを着ているのが微笑ましかった。やはり海外でも評価が高いのか。この作品のおかげでリメイク版が早く観たくなってしまった。
2008年4月13日 to デッド・サイレンス

(c)2007 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
『SAW』で世界に衝撃を起こしたジェームズ・ワンとリー・ワネルの最強タッグによる新たなホラー作品。
今作は『SAW』を終えた時点から構想があったという事でだいぶ暖められていた。
『SAW』シリーズにも“ジグソウ”お手製の人形が登場しインパクトを放っているが、今作ではまさに“(腹話術)人形”がメインとなっている。
またメアリー・ショウという過去に存在した女性が亡霊となって登場し、人間同士の関係性を重視した『SAW』シリーズともひと味異なる心霊モノに仕上がっている。
主役はライアン・クワンテン。あまり知名度が高くない俳優だが、確かな演技力で奥さんを失いつつも奇怪な謎に挑む男性を演じている。
脇には『トランスポーター2』のアンバー・ヴァレッタ、そして『SAW』シリーズのドニー・ウォルーバーグが出演している。特にドニーは最近目にすることが多いが、また別の役柄を演じているのが新鮮だった。とはいえ、『SAW』シリーズと同じく最後は悲惨な扱いだが。
殺人犯の魂が人形に宿った『チャイルドプレイ』というホラー映画はあるが、腹話術人形自体をメインに置いた映画は存在自体が希少なので今作はそれだけでも価値があると言える。
またやはり『あぁ、SAWのコンビだな』とも思えるラストの展開も好印象だった。
2008年4月13日 to 燃えよ!ピンポン

(C) 2007 Focus Features LLC and Intrepid Pictures LLC. All Rights Reserved.
『ナイトミュージアム』の原案と脚本を担当したロバート・ベン・ガラントとトーマス・レノンのコンビによる卓球アクションコメディ。
アメリカがあまり活躍する事のできない競技種目である卓球をメインとして扱っている今作。北京オリンピックに向けての意気込みが窺える。たぶん。
原題は『BALLS OF FURY』
タイトルからして『ドラゴン怒りの鉄拳』の英題『Fist(s) of Fury』をパロっている(劇中にも“ドラゴン”という人物が登場するし)。
主演はトニー賞を受賞したコメディ俳優ダン・フォグラー。CGに頼る事のないブヨブヨの肉体ながらも、機敏に動き回りアクションをこなしている。自分はこの俳優について全く知らず、ジャック・ブラックがより太った感じと思っていたがなかなかどうして良い俳優。充分スターとなれる素質があると思う。コメディ作品に限ってたが。
ヒロインはマギー・Q。『M:i:3』『ダイ・ハード4.0』とシリアスな作品が続いた彼女だがきちんとギャグもこなせるのには驚いた。コン・リーにはできない事だ。今作でも無駄にそのセクシーさを発揮しており、それだけでも男にとっては観る価値のある映画ではないだろうか。
そして全ての黒幕であり元・中国代表選手(出身国は謎)というよく分からない敵を演じるのは最近引っ張りだこのクリストファー・ウォーケン。実際に履歴書に『タップ・ジャズ経験あり』『マニュアル車運転可能』『アカデミー賞受賞経歴あり』と一番アピールしなければいけない事を3番目に持ってくるという彼のユーモアは作品の中でもよく発揮されている。
普通にしていればかなり格好良い中年男性なのに、そんなのお構いなしと言わんばかりの奇妙な演技をする彼はそれでも格好良い。
他にもシーン冒頭で殺されてしまう主人公の父親役にロバート・パトリック、『HEROES』で大人気のマシ・オカなどが勿体ないくらいちょい役で出ているのも見逃せない。
ストーリーは短すぎず、長すぎず。ウケを狙ってるなぁと思うシーンはあるが、それでも従来のアメリカ式コメディに比べればあっさりしてるし、自然に笑みがこぼれてしまう。邦画『ピンポン』のようなノリを期待して観るとこちらは少しふざけすぎていて萎えてしまうかもしれない。
何度も観たい映画ではないが、頭をカラッポにして楽に楽しめるオススメのコメディ。
2008年4月13日 to クローバーフィールド/HAKAISHA

(C)2008 Paramount Pictures. All rights reserved.
『エイリアス』『LOST』の製作総指揮、『M:i:V』の監督であるハリウッドの仕掛け人J.J.エイブラムスがプロデュースしたパニックモンスタームービー。
監督は彼の少年時代からの親友マット・リーブス。
『トランスフォーマー』の公開時の予告(タイトルなし)で初出、ネット上での口コミ(バイラル)により公開前から話題騒然となっていた今作。“何か”がNYに突如現れ破壊の限りを尽くすという事自体は一切が謎だった。もちろんその“何か”がどんな姿かも。まるでハリウッド版の『GODZILLA』の公開前のような既視感を覚えた。しかしそれはあくまで既視感に過ぎず、予告の中で自由の女神の頭部がこちらに向かってくるシーンの衝撃は『GOZILA』を超えている。ジョン・カーペンター作品の『ニューヨーク1997』においても自由の女神像の頭部がもげるのはあくまでポスターの中でだけだったというのに。
映画を観ても結局あの怪物の正体を知る術はない。モヤモヤした感じが残る気もするが、個人的にはこうしたマクガフィン手法の作品は嫌いではない(そう言えばエイブラムス監督の『M:i:V』に登場したラビットフットの正体も語られずじまいだった)。
だが、事件の全貌を知る事ができないのも当然と言えば当然。今作は謎の怪物に襲われパニックに陥る中逃げまどう姿を、あくまで一市民の視点で描き出したものだから。言うなれば『ブレアウィッチ〜』なノリで物語は進んでいくので、微視的な映像になっている。怪物の姿もなかなか拝めないし、『見えた!』と思ったら本当に一瞬。そこがある意味リアリティ(実際こんな怪物がいたら困るが)とも言えるが。
監督が公然と語っているように、本作のアイデアモチーフは『M:i:3』で来日した時に子供と訪れたおもちゃ屋との事。つまりは“あの”原子怪獣が根底にあるということ。日本のサブタイトルには『HAKAISHA』と名前がつけられているが、これはよくある勝手な邦題ではなく、エイブラムスが自ら考案したもので彼の日本に対する真摯な気持ちが感じられる。一切音楽がない今作のエンドロールで流れる音楽なんかは伊福部 昭に対するオマージュだ。
だが、“何か”=“HAKAISHA”の姿はゴジラとは似ても似つかない。劇中でその姿が見えた時は意外に華奢な体つきに驚きつつも、個人的に身体は『ロード・オブ・ザ・リング』のシェロブ、顔はトロルを細くしたような感じに思えた。だが、後々考えてみたら『スターシップトゥルーパーズ』に出てくる“巨大バグ”、『グエムル−漢江の怪物−』つまり『パトレイバー』の“廃棄物13号”の方が似ているかも。
予告編でも示唆されていたように、“HAKAISHA”の身体からは小型の怪物も産み落とされる。大きな怪物が入れないような狭い場所に逃げても安心できないわけだが、それなんかは動きが機敏になった“デストロイヤー”の幼虫みたいだった。
キャストはなるべくメジャーではない若者ばかりが起用されていて、本当に一般市民に近い立場で展開するので『どうせこいつは助かる』という気持ちは一切なしで、常時ハラハラしながら楽しめる。リメイク版『宇宙戦争』の時みたいに一市民のはずのトム・クルーズにだけビームが当たらないなんて不自然な事は有り得ない、ということ。とはいえ、『テキサス・チェーンソー』『ミーン・ガールズ』『トランスフォーマー』の出演者もちらほら。一般市民に見えつつも、演技力が全くないわけではない俳優達。まさに丁度いい具合となっていた。
早くも続編の動きもある模様。
と言ってもあの怪物と破壊し尽くされた街のその後を描くわけではなく、また別の視点からの“クローバーフィールド”事件が描かれるとの事。『バンテージ・ポイント』みたいなそのやり方だといくらでも続編が作れそうな感じがする。第一作目だからこそ、その衝撃度である程度の興収を稼げただけに続編はよほど気を入れないと飽きられそうな気もする。
むしろ次作ではマクロ的な視点でしつこいくらいに怪物の姿を見せるのもいいし、本家よろしくハリネズミ型の怪獣がNYに現れて“HAKAISHA”と対決というのも良いかも。いやいっその事、当初の噂にあった『キングギドラ』のハリウッド版を作ってほしい。
手ぶれ映像に耐性がない人は鑑賞中・後かなり辛い事となるのでそのへんは注意。それと見終わってスッキリする気持ちを求める人も注意が必要かも。
総合的に見たら革新的な映画と言えるし、自分としては非常に楽しめた。しょっちゅうだとすぐマンネリ化するがたまにならこういう系統の作品は大歓迎。
共感:1人