根無し葛 さん

きょうできることは明日する

映画館で観るか、半年待ってDVDで観るか。
原作を読んでから観るか、読まずに観るか。
ひとりで観るか、誰かと一緒に観るか。
けっこう迷います。
ほかに悩みはないのか、といわれてしまいそう。
そういえばたしかにあまり悩みはないです。
そのかわりお金もないです。

【6月29日】
『ミスト』を観ていていちばん気味が悪かったのはクモのモンスターに襲われる場面でした。「蜘蛛の子を散らすような」という言い回しの意味するところがよくわかりました。よくわからないままでいたほうがよかったような気がします。

クモは、映画の中ではその生命力とか凶暴性が前面に出されて描かれることが多いけど、『シャーロットのおくりもの』を観ると、かなり印象が違います。慈母のようなクモのシャーロットはとても知的な雰囲気に満ちていて、織りなされた巣に奇跡が秘められていても、「さもありなん」と納得させられてしまいます。

シャーロットというわけではないけれど、実は最近、とあるクモと顔なじみになりました。自宅の門の蝶番のあたりに、毎朝、巣を作っています。巣の片隅に慎ましげに控えている小さなクモと、糸が朝露に光るクモの巣。繊細さの漂うその仕上がりには感心させられます。でも、扉を開ければ巣はあとかたもなくなってしまう。ためらってはみるものの、迂回する裏口もない以上、「朝顔に釣瓶とられてもらい水」というわけにもいかないし・・・。ということで、悪いねと思いつつ扉を開ければ、巣はたちまちにして四分五裂。ひと晩かけた労作も灰燼に帰してしまう。なのに・・翌日には同じ場所に同じような幾何学模様が再生されています。思わず、「お前はシーシュポスか」とつっこみたくなります。つっこみながらも、その勤勉さと律儀な努力には頭が下がってしまいます。

クモがシーシュポスならば、さしづめぼくは「神」なのでしょうか。生殺与奪の権をほしいままにする気まぐれな神。「気まぐれ」というところは当たっているけど、どう考えても神という柄ではありません。クモにしてみれば、むしろ得体の知れない「破壊者」に見えているのかもしれない。毎朝、決まった時間に現れ、生活の基盤を根こそぎ破壊しては去っていく冷酷なモンスター。そう思われてもいたしかたがないんだけれど、実際のところは、毎朝、決まった時間に家を出なければ生活を維持することもおぼつかないだけのわが身なんですよね。残念だけど、誤解をとくすべは見当たりそうもありません。それに、あながちすべてが「誤解」というわけではない、ともいわれそうだし。だから将来、もし血の池地獄でいじめられてしまうことがあっても、天上から蜘蛛の糸がするすると降りてきて・・ということにはならないんだろうなあと思います。

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