じょりちょこ さん
じょりちょこさんのレビュー一覧
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見どころは戦闘シーンと「くちびる」(0)2008年6月2日 to ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛

Narnia TM(C)2007 Disney/Walden前妻によると、本作はシリーズ中もっともパッとしないそうな。たしかにそうなのかもしれない。ストーリーは「ありきたり」で、特にびっくりするような展開は出てこない。もっとも、本作こそがこの手のファンタジーのステレオタイプを作ってしまったわけで、その点を責めるのはお門違いかもしれない。
ストーリーのことをさておくと、実に見事な映像の連続で楽しめる。特に戦闘シーンは素晴らしい。夜の戦闘シーンは、大量の敵味方が入り乱れるというのに驚くほど「何が起きているのか、すっきりわかる」。製作者たちはよほど入念に計画を練り、色彩を決めたに違いない。おそらく、夜のシーンに見えるのはCG加工によるもので、実際には普通に明るいスタジオで撮影したのだろう。とにかくこれほど鮮明に見える夜のシーンは初めてだ(念のために言っておくと、ちゃんと夜のシーンに見える。違和感はない)。
クライマックスの戦闘シーンにおける重装歩兵の圧力にも感動した。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの戦闘シーンは、よく言えばきらびやかでスピード感あふれるものだったが、正直に言うと嘘をつきすぎだと感じたものだ。いくらファンタジーだとは言っても、その世界なりのリアリティを感じさせてくれないと困るのだ。その点、本作は非常に嘘が少ない。結果的にナルニアらしさが少し後退して、リアリスティックでダークな仕上がりになっているのだが、現代人に見せるには良いアレンジではないかという気がする。
そして...それ以上に印象に残るのは、スーザンの「くちびる」のセクシーさだ。映画冒頭に登場したときの「うぶ」な感じから始まり、作中でみるみるうちにセクシーになっていく。もちろん、この演出は原作から離れてしまっているのだが、僕は多いに楽しめた。スーザンを演じているアンナ・ポップルウェルは大物になる気がする。
ナルニアは第3作以降がおもしろいらしいので、楽しみだ。本作も、まずは料金分は十分に楽しめると思う。 -
見事な映画(0)2008年5月29日 to マルコムX
スパイク・リー監督は、この映画の公開時、黒人の学生は学校を休んでこの映画を見にいくべきと主張しました。それほどの自信作であったわけですが、実際、見事な出来栄えであると思います。
映画はアレックス・ヘイリーの書いた「マルコムX自伝」に基づいています。なぜマルコムXが書いたのではないのに「自伝」なのかというと、自伝執筆のためにマルコムがアレックスに自分の過去を語っていたその最中にマルコムXは暗殺されてしまったのです。アレックスはそれまでに聞いたエピソードをまとめ、そして暗殺のくだりを自ら執筆し、「自伝」を発表しました。この映画はこの本の映画化です。
「過激」だと見る向きもあるようですが、原作と比較しても、スパイク・リーの普段の作風と比較しても、むしろ非常に丁寧かつ慎重に作られた作品です。僕が特に感銘を受けたのはマルコムのメッカ巡礼のくだりです。スパイク・リーは撮影スタッフをイスラム教に入信させてこのシーンを撮影したといいますが、それだけに普段、なかなか動いている映像としては見ることができないメッカの様子を見ることができます。
(マルコムのメッカ巡礼は彼の思想が一大転換を迎える契機なので、単なる旅行シーンではないのです。)
映画を見終わった後の印象はけっして気持ちの良いものではありません。しかし、暗澹たるものでもありません。この映画は、人類の抱えている闇をズバリと描きつつ、その闇を克服するために決して挫けない人々を描きます。その闇の深さ故に重苦しい思いが生じますが、決して挫けない人々の勇気に励まされるのです。
それにしても、デンゼル・ワシントンが本作でオスカーをとれなかったのは、どう考えても人種差別です。まあ、それを明らかにできただけでも、本作の存在意義はあるのですが。共感:2人
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以外にまとも(1)2008年4月23日 to 堕靡泥(ダビデ)の星 美少女狩り
鈴木則文監督の極限的作品との評判で観てみました(このところ、こんなんばっかり観てるな)。
「エマニエル夫人」や「O嬢の物語」「イマージュ」あたりの文芸ポルノに見られるような気取った感じはまったくありません。といって低予算映画にありがちな投げやりな感じもありません。ある種のドス黒い情念をそのまま娯楽映画のフォーマットでていねいに作った怪作です。
誘拐・監禁・強姦・殺人がこれでもかと出てくる上に、かなり男性側に都合良く女性たちが心変わりするので、まじめに考えるとついていけないのですが、構成が巧みでマンネリ化しないので、先が気になってつい最後まで見てしまいます。
今日のレベルから見ると、そう過激作でもないのですが、ドラマティックなSM映画ではあると思います。共感:1人
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美しくも醜悪(0)2008年4月18日 to 窓からローマが見える
あびる優の母親、中山喜美子のデビュー作です。
原作・監督とも池田満寿夫。
原作は大昔に読んだが、その頃はまだ学校を出たばかりで意味がよくわからなかった記憶がある。ただ、濡れ場でなくても官能的なムードがあり、「池田満寿夫チャンはやっぱり違うなあ」などと粋がったことを口にしていたように思う。恥ずかしい思い出ですね。
この映画に興味をもったきっかけも恥ずかしい。この映画のメインテーマをポール・モーリアが担当しているのですが、その曲が僕の買ったポール・モーリアの2枚組ベストに入っていたのでした。それと、親父の部屋の押入にあった週刊プレイボーイに『エーゲ海に捧ぐ』の紹介が載っていて、どうも池田満寿夫という人はエロいものを作る芸術家らしいという情報がインプットされていたのでした。
なにがきっかけで見たものか、思い出せないのですが、ともかく見ました。
リアリティあるシーンと不条理なシーンが混然一体となった不思議な映画です。僕も不条理な映画はたくさん見たのですが、この映画の不条理さはまた一種独特で、画面のトーンからすると不条理なシーンを描いてるシーンには見えないのです。まるで普通のシーンのようでありながら、登場人物の行動が明らかにおかしいのです。
主人公はすでに別居生活が長く続いている妻のことを放置して、若い娘とアバンチュールを楽しむのですが、その頃、妻は若い男に襲われていました。その男は主人公の愛人にも襲いかかるのですが、あまりストーリーのことを云々してもしかたありません。おそらく監督もストーリーには重きはおいておらず、むしろストーリーは観客を幻惑させるための道具として機能しているように思います。
その幻惑が心地よいかどうか?でこの映画の評価はわかれると思います。僕は楽しめました。けれど、冷静に評価すると、ちょっとハッタリが過ぎる気もしますね。凝りに凝った撮影・構成のわりに、残るものが少ないというか...
しかし、まったくどうしようもない作品とは到底言えず、いろいろと屈折した作品です。とりあえず映像は美しく、そして醜悪です。さすがに凡人の作品ではない、と感じます。 -
良い作品だとは思うけれど...(0)2008年4月17日 to ライフ・イズ・ビューティフル
丁寧に撮られた作品だと思います。
ロベルト・ベニーニのオーバーアクションな演技も悪くないと思いますし、メッセージも明確です。いくつかのシーンではホロリと来ました。残酷なシーンを直接的に描かずに、それでも戦争や人種差別に反対する気持ちがスムーズに伝わってきます。
まずは万人におすすめできる優れた作品であると思います。
ただ、個人的には、期待しすぎたのか、見終った後に少し首をかしげたくなりました。
ロベルト・ベニーニ演じる主人公の底抜けの明るさ、純粋さ、愛情は、どんな苦難に出会っても挫けることがありません。それは本当に素晴らしいのですが、正直、僕にはこんな生き方は無理です。素晴らしいとは思いますが、参考にならないのです。
いや、でも、どうなのかな。それこそがメッセージなのかも知れないですね。安易に「こんな生き方は無理」と決めつけるのではなく、当たり前のことを当たり前に追求すべきではないか?そういうメッセージの映画なのかも知れないですね。ジョン・レノンの歌のように...
しかし、やっぱり、僕には誰もがこの映画の主人公のように生きられるとは思えないです。たしかに彼は眩しい。羨ましい。しかし、あまりにも美しすぎて嘘っぽく感じてしまう。そういう僕は、ちょっと汚れすぎているのかも知れないですね... -
高く評価はできませんが、大好きです(0)2008年4月15日 to エマニュエル
「ディア・ハンター」に屈折したレビューを書いてしまったので、逆方向のレビューなど。
エマニエル夫人シリーズの4作目。シルビア・クリステルが主役の座を降り、整形手術で美しく生まれ変わるという発端。整形後の夫人役ミア・ニグレンはたしかに美形。ロザンナ・アークエットに少し似てるかな。
ストーリーは陳腐で、シリーズ1作目が持っていた異様なムードもなければ、2作目が持っていたエキゾチシズムもない。一応、ブラジルに飛んだりして多少の味付けはしているけれども、別段どうということもない。オープニングとエンディングに一応のつながりがあるのですが、正直、ストーリーそのものには主眼はありません。主眼があるのは濡れ場です。その濡れ場も、全体に美しくもなければ過激でもなく、なんとも中途半端です。
じゃあ、本作のどこに魅力があるの?って話になりますが、夫人があるレズビアンの情事を目撃して、たまらず興奮して○○を始めてしまうくだりがあるんですけど、これがよくテレビで放映したなって思うくらいエロいんですよね。
ええ、まあ、このシーンだけです。評価できるのは。 -
高く評価はしますが、好きではありません(4)2008年4月12日 to ディア・ハンター
力作です。他に似たタイプの映画はあまりなく、映画ファンなら一度は観るべき映画の一本だと思います。
陰々滅々たる映画なので、楽しい気分になれる作品とは言えません。戦争が人間をどう破壊するかというところに焦点があるので、無理もないところです。シリアスに物事を考えたくないときに観る映画ではありません。しかし、一度観始めてしまえば、その真摯な作風と強烈なドラマに目を離せなくなることでしょう。
とはいえ、個人的には好きになれない作品です。
ベトナム戦争にアメリカが介入したのは「アメリカの選択」であって、ベトナムがアメリカを介入せざるを得ないところへ追い込んだわけではありません。
ベトナム戦争で傷ついたアメリカ人は、ベトナムによって傷ついたのではなく、アメリカによって傷ついたはずです。
この映画では主人公たちはベトナム戦争の被害者として描かれます。その視点は大いに価値のあるものだと思いますが、それにしては加害者であるはずのアメリカが責められず、むしろ同じように被害者であるはずのベトコンの残虐性が強調されていることには違和感をぬぐえません。
もちろん、ここでは主人公たちの視点に集中することでリアルなドラマになっているのであり、アメリカを加害者として糾弾してしまったらこの映画が壊れてしまうことは認めます。この映画を名作にしているのは、徹底して主人公たちの視点におけるリアルさを追求したところにあると思いますので、僕の違和感は不当と言えば不当なものです。
言わば、本作は誰もが好きになれる作品ではない、というところに価値があるのだと思います。
個人的には好きになれない作品ですが、素晴らしい作品だと思います。共感:1人
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諸君を世界一の沃野に導こう!(0)2008年4月10日 to ナポレオン
アベル・ガンス監督の大傑作です(僕が見たのはコッポラによる復元版で、オリジナルは未見なので10点減点しています)。
本作はナポレオンの少年時代から第一次イタリア遠征までを描いています。戦闘シーンでナポレオンが活躍するのはトゥーロン攻略くらいなので、戦闘シーンを目当てに観賞すると肩透かしをくらいます。
この映画は若き日のナポレオンの成り上がりのストーリーです。僕の持っている書籍の中ではエミール・ルートヴィヒの「ナポレオン 英雄の野望と苦悩」のテイストがこの映画にもっとも近く感じます。このルートヴィヒの評伝は、作者自身が書いているように、ナポレオンの心の動きにスポットを当てているのですが、この映画はまさにそういう感触を受けます。
映画ファン向けの見どころとしては、ロベスピエールの恐怖政治のために議会が大揺れに揺れるシーンです。冷酷に陰謀を企むロベスピエール、剛腕を示すデモンストレーションに得意気なダントン、そして紛糾する議会が重ねて映写されるのですが、議会を撮影するカメラがブランコに載せられてまさに「大揺れに揺れる」のです。このとき、ナポレオンは嵐の中を小船で移動しており、その様子もモンタージュされます。
この映画は戦争映画ではないので、戦争映画が苦手な人にもおすすめです。少し長い作品ですが、展開は極めてドラマティックで少しも飽きさせません。古い映画をあまり見ない人も、機会があれば是非! -
甲冑と剣の美しさ(0)2008年4月9日 to エクスカリバー
まず、この映画は完全なファンタジーです。歴史考証は皆無ですし、いわゆるアーサー王伝説を再現しようとしているわけでもありません。アーサー王伝説をモチーフにして、自由自在な物語を描いたものです。
たとえば本作でアーサー王と円卓の騎士たちは美麗な甲冑に身を包んでいますが、ああいう全身を覆う甲冑が登場するのははるか後年のことですし、実際にあんな甲冑を着用して戦闘できたかどうかも怪しいところです。
しかし、この甲冑は本当に美しく、僕の観たファンタジー系の映画の中では一番の仕上りだと思います。
聖なる剣、エクスカリバーの美しさはさら際立っており、ここまで剣を美しく描写した映画はないんじゃないかと思います。
本作ではアーサー王とエクスカリバーとドラゴンの関係が○○○であるとされていて、ここではドラゴンは大地そのものの象徴とされています。アーサーとゲネヴィアの婚姻の儀式はケルト風の儀式で行われるのですが、映画が進むにつれて画面の中にキリスト教的なムードが増えていきます。ケルトが後退し、キリスト教が台頭する流れを描くことで、「指輪物語」が伝説の時代の終わりと人間の時代の台頭を描いたのと同じことを表現しているように思います。
僕はジョン・ブアマン監督の作品をあまり好まないのですが、本作は悪くないと思います。惜しむらくは登場人物たちが現代的すぎる点なのですが、それも監督の意図するところだったかもしれません。現代劇として、ファンタジーを描くのも(僕は好みませんが)悪いことではないかもしれません。 -
見応えのある合戦映画だが(3)2008年4月8日 to ゲティスバーグの戦い/南北戦争運命の三日間
ピューリッツァー賞を授賞したマイケル・シャーラの「Killer Angel」を原作とする本作「ゲティスバーグの戦い/南北戦争運命の三日間」は、南北戦争マニアなテッド・ターナーが金にモノを言わせて完成させた合戦映画です。
R・E・リー将軍にマーティン・シーン、
ロングストリート将軍にトム・ベレンジャー、
ピケット将軍にスティーヴン・ラング、
チェンバレン大佐にジェフ・ダニエルズ、
その弟にC・トーマス・ハウエル、
ビュフォード将軍にサム・エリオット
といったキャストです。
リー将軍にマーティン・シーンはミスキャストだと思いますが(というのはリー将軍は長身で優雅な物腰の人物なのですが、マーティン・シーンは背が低く、また優雅とは言えません)、他はまずまずです。
戦闘シーンは極めてリアルでありながら、全体の流れもわかりやすく、非常に優れた仕上りだと思います。まずは観客の期待は裏切られないものと思います。
(特にリトルラウンドトップにおけるチェンバレン大佐の連隊の奮闘と、ピケットの突撃は涙なくしては見れません。)
しかし、全体としてはいくつか課題が残ります。
ゲティスバーグの戦いは「もしも...」という瞬間がいくつもあるのですが、そこがことごとくさらりと描かれています。そういうポリシーもあるののかな、と思いますが、もったいないと思えてなりません。
たとえば、スチュアートの騎兵隊が大幅に遅れて到着したことは南軍の情報収集を大いに制限し、問題となりました。たしかにスチュアートが遅れて到着してリー将軍に激怒されるシーンはあるのですが(このシーンは、リー将軍が珍しく人前で他人を叱責したシーンとして有名なシーンなのですが、その点も強調されていません)、スチュアートがそれまで何をしていたのか描かれていないので、スチュアートの心境はつかめないままです。もっというとリー将軍が、スチュアートの不在で困っているシーンも皆無なので、ますますなんでリー将軍が激怒したのかわからない作りになってしまっています。
第1日の日没においてユーエルの軍団で、さらに前進してセメタリーヒルを落とすべきだと部下が進言するシーンも強調されていません。このときユーエルと対峙していたハワードの軍団はチャンセラーズヴィルの戦いで屈辱的な大敗を喫しており、そのために戦意が非常に低下していたのですが、その点も描けていません。
第2日の布陣においてシクルズが突出してしまっていたくだりもほとんど描かれませんし、ロングストリートがわざと戦闘開始を遅らせたくだりもどうとでも解釈できる描き方で不満が残ります。
つまり、この映画はもっぱら戦闘シーンの描写が目的の映画になってしまっています。まあ、そこさえしっかりしていれば、下手な歴史考証は無用だというような観客がターゲットなのかも知れませんが。
テッド・ターナーは本作の仕上りを大いに気に入り、同じスタッフに「Gods and Generals」(2003)を作らせます。こちらはさらに長大な作品になっており、いまいちピントが定まらない作風にも拍車がかかっています。
なお、この映画の制作当時、テッド・ターナーはジェーン・フォンダと結婚していました。本作とは何の関係もありませんが、豆知識として。共感:1人
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